基本フランス語【冠詞の種類とその使い方】について。冠詞その1

みなさん、こんにちは。

今日はフランス語の冠詞についてです。

 

冠詞はフラ語の勉強を始めて最初に習う、文法の超基本です。

日本語に冠詞がないこともあって、この概念を理解するのには苦労しますが、実は面白い分野でもあります。

その冠詞について、これから4回に分けてゆっくり見てみようと思います。

今回はその第1弾【冠詞の種類とその使い方】についてです。

それではどうぞ、ごらんください♪

 

冠詞に関する、その他のテーマはこちら↓で解説しています。

【定冠詞・不定冠詞・部分冠詞】による意味の違い。冠詞その2

【否定文における冠詞の変化】について。冠詞その3

【冠詞が付かない場合】と【前置詞DEとの関係】。冠詞その4

はじめに【冠詞】について

冠詞にはつぎの種類があります。

「定冠詞」「不定冠詞・部分冠詞です。

冠詞は 名詞の前 におきます。

【定冠詞】le (l’)/ la (l’)/ les

その物事の全体をさし、それによって 物事の身元が特定された状態 になります。「全体をさす」ので、その物事を「カテゴリー」として表現することもできます。

【不定冠詞】un/ une/ des

数えられる名詞に使い、物事の身元が特定されていない状態になります。「ある1つの/いくつかの」という数の意識が入ります。

単数 « un/ une » のついた名詞で、かつ形容詞などでキャラクター性を与えられた名詞は、その物事が主張される傾向にあります。

【部分冠詞】du/ de la (de l’)

不定冠詞と同じく、物事の身元は特定されません数えられない名詞に使います。その物事を「部分」で表現します。

それでは、見ていきましょ。

【定冠詞 LE/ LA/ LES】 について

まずは【定冠詞】の形

①【定冠詞】の基本形

男性単数 女性単数 複数
le (l’) la (l’) les

( ) 内は母音・無音の h の前での形です。

l’homme
l’heure

有音の h の前ではエリジオン・リエゾンはおこりません。

le héros[lə.e.ʀo]ルエろ
les haricots   [le.a.ʀi.ko]レアりコ

②【定冠詞】が前置詞【à/de】とくっついた形

le la les
à+ au à la (à l’) aux
de+ du de la (de l’) des

Je vais au cinéma.
映画館に行く。(à+le) 

Je vais à la piscine.
プールに行く。

Je vais aux toilettes.
トイレに行く。(à+les) 

 

Elle n’est pas encore revenue du marché.
まだ市場から戻ってない。(de+le)

Elle n’est pas encore revenue de la poste.
まだ郵便局から戻ってない。

Elle n’est pas encore revenue des toilettes.
トイレからまだ戻ってない。(de+les)
不定冠詞の des ではないので注意。

 

【定冠詞】の使い方

定冠詞は「それ全体・総くくり」を指すイメージが根底にあるので、その物事の身元を「特定」します。物事の大きさや性質は関係ありません。定冠詞は「その物事の全体像」に焦点があたります。

① その人物事を「聞き手がすでに分かっている・簡単に特定できる・唯一である」場合。

Elle est grande, la maison de ton voisin!
君のお隣さんの家はとても大きいね。

聞き手はその家を知ってるので、定冠詞でどの家なのか特定してある。

 

J’ai vu la fille de ma cousine.
私のいとこの娘ちゃんに会ったよ。

父母娘息子などは定冠詞をつかうことが多い。

 

Tu as vu le dernier film de Luc Besson?

リュック・ベッソンの最新映画みた?

le dernier「一番最後の/最新の」
最新作は1本しかなく簡単に特定できるので定冠詞。

 

J’ai rencontré la femme de ma vie !

ぼくの生涯の伴侶なる女性に出会ったんだよ!

生涯の伴侶も基本1人ということで定冠詞。 une femme de ma vie  というと、いつかは別の女性が出てくるのが前提みたいにも聞こえる。

 

Il n’était pas mal, le livre qu’il m’avait offert.

彼がくれた本、なかなか良かったよ。
「彼のくれた本」と身元を特定。 

 

② その人物事を「一般的カテゴリー」として捉えた場合。

「En général」を文にくっつけて意味が通る場合が多いです。その物事をカテゴリーとして捉えているので、すでに聞き手も知っている物事となります。

C’est la vie !
それが人生だよ。

Les enfants adorent les jeux video.
子供はテレビゲームが大好き。

J’aime les chiens, pas les chats.
私は犬が好き、ネコはダメだわ。

Ce n’est pas bien pour la santé…
健康によくないよ…

 

③家事や場所など「定冠詞」を使った日常の表現。

家事や公共施設など、日常生活の定番の表現には「定冠詞」を使います。

faire la cuisine/ faire la vaisselle/ faire le ménage/ faire la lessive/ faire les courses …

料理する・皿洗いする・掃除する・洗濯する・買い物する

 

à la montagne/ à la campagne/ à la poste/ à la maison/ à la télé/ au téléphone/ dans l’escalier…

山で・田舎で・郵便局で・家で・テレビで・電話で・階段で

 

つぎに【不定冠詞】をみてみます。

【不定冠詞 UN/ UNE/ DES】について

まずは【不定冠詞】の形

男性単数 女性単数 複数
un une des

un ami  / une amie / des ami(e)s

【不定冠詞】の使い方

その物事の、身元が分からず特定できない、特定したくない、特定する必要がない場合 などに使えます

「とあるひとつ/いくつかの」という数量の概念がいつも根底にあります。

①「とある1個の/ いくつかの…」を表現する。

un/une「とある1個の」 des「いくつかの」

On prend un verre?
一杯やる?

J’ai acheté un joli sac.
かわいいカバンを買ったよ。

日本語ではいちいち1コ買ったとは言わないけど、仏語は冠詞が必要なのでつける。この文で定冠詞を入れても、何のカバンを指してるのか分からない。

 

J’ai jeté des livres.
本を何冊か捨てた。

上の例と同様、単に本を数冊捨てたと言ってる。 

 

Qu’est-ce que tu as mangé ce matin? – J’ai mangé des fruits.
今朝は何食べたの?- 果物たべた。

色んな果物を食べた。

 

J’ai un problème avec ma voiture.
車のことでひとつ問題があるんだよね。

日本語と同じで des problème「いくつか問題が…」よりも、un problème「ひとつ問題が…」と言われる方が、どんな問題なのか非常に聞きたくなる。単数表現のパワー。

 

J’ai vu un film de François Ozon.
フランソワ・オゾンの映画みたよ。

オゾン作品の、とある1本を観た。

 

J’ai acheté un Picasso.
ピカソの画を1枚買った。

un Picasso = un tableau de Picasso 

 

② 形容詞などで「名詞を個性化」する。

形容詞などで修飾されキャラクター色を与えられた名詞は、不定冠詞をつかう場合が多いです。不定冠詞のもつ「ある1つの」という意味と、形容詞の意味が合わさって、その物事の孤高性が主張されて聞こえます。

On a découvert un paysage magnifique.
素晴らしい景色を見つけたよ。

「とある素晴らしい景色」と価値が強調されている。

 

J’ai une grosse journée demain!
明日は1日大忙しだぞ!

une grosse journée「太った1日 = 予定ぎっしりの1日」

 

J’ai une bonne nouvelle pour toi.
君にいい知らせがひとつあるよ

 

J’ai passé une excellente soirée!
素晴らしい夜をすごしたわ

 

Ce puits donne une eau très pure.

この井戸からすごい澄んだ水が出るんだよ。

水は数えられないが、形容詞で水を個性化させることで「1つの〇〇な水」として強調されている。

 

Il a une mémoire extraordinaire.
彼は並外れた記憶力をもっている。

上と同じ。本来数えられない名詞が形容詞で個性化されることで「1つの〇〇な記憶力」と強調されている。

 Remarque

複数形の名詞の前に形容詞 がある場合、 不定冠詞「des→de」になります。
Elle a des robes. → Elle a de belles robes.

しかし日常会話ではこのルールは無視される傾向にあります。
J’ai eu des bonnes notes à l’école. (学校でいい点数をとったよ)

③ 「一般的意見」に不定冠詞をつかう。

Un boulanger doit se lever tôt.

パン屋さんってのは早起きだろうね。

 

つぎは【部分冠詞】についてです。

【部分冠詞】について

部分冠詞は数えられない名詞につけます。

男性単数 女性単数
du de la  (de l’ )

du fromage / de la monnaie (de l’eau)

【部分冠詞】の使い方

1個2個と数えられない名詞の前に置き、物事の「いくらかの量」をあらわします。不定冠詞と同様、物事の身元は特定されません。

Qu’est-ce que tu fais ?- Je mange du pain.

何してんの?- パン食べてる。

日本語ではいくらかのパン食べてるとは言わないけど、フラ語で冠詞は必要なので、数えられない状態のモノなら部分冠詞をつける。

 

Tu as de la confiture?
ジャムある?

ジャム自体は数えられない。

 

J’ai mangé du melon.
メロン食べた。

いくらかの量を食べたということ。1個丸ごとなら un melon。 

 

Il a du charme.
彼は魅力があるね。

魅力は数えられないから部分冠詞。

 

Il y a du soleil.
陽が照ってる。

天体としての「太陽」なら1個しかないので定冠詞「le soleil」。例文の部分冠詞「du soleil」だと、その太陽の一部で光が差してるイメージ。

 

おわりに

今回はまず「定冠詞」「不定冠詞」「部分冠詞」の基本をみました。

冠詞のルールは他にもあって、一度にまとめるとものすごく疲れる量になるので、あと3回にわけて続きを説明してあります。

 

興味のある方はこちら↓をごらんください。

【定冠詞・不定冠詞・部分冠詞】による意味の違い。冠詞その2

【否定文における冠詞の変化】について。冠詞その3

【冠詞が付かない場合】と【前置詞 DE との関係】。冠詞その4

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