みなさん、こんにちは。
冠詞シリーズの最終回は、冠詞が付かない場合【無冠詞】についてです。
冠詞が付くか付かないかは、無冠詞名詞があとに続くと決まっていない前置詞「DE」のあとで、たいがいヤヤこしくなります。
今回はその「DE」に関わる冠詞を中心に【冠詞が付かない場合】を見ていきたいと思います。
それではどうぞ、ごらんください♪
冠詞に関する、その他のテーマはここ↓で解説しています。
Table des matière
I. 【数量】をあらわす表現のあとの無冠詞
beaucoup de/ trop de/ assez de/ peu de…
un morceau de/ une tranche de/ un paquet de/ une bouteille de/ une boîte de/ un kilo de…
上のような「DE」をともなった数量をあらわす言葉のあとでは、名詞に冠詞はつきません。
J’ai beaucoup de choses à faire.
やることがいっぱいあるんだ。
J’ai mis trop de sel.
塩入れすぎた。(多すぎる塩)
Je n’ai pas mis assez de sel.
塩を十分に入れなかった。(十分な塩)
J’ai reçu un bouquet de fleurs ce matin.
今朝花束をひとつ受け取った。
Je bois deux bouteilles d’eau par jour.
1日にボトル2本の水を飲む。
II.【前置詞 DE】 のあとの冠詞について
確かに de des/ de du/ de de la… は発音しにくいですね。つまり « le/la/les/un/une » の冠詞は残ります。
J’ai envie de soupe ce midi.
「お昼はスープがいい」
( de+de la soupe) 部分冠詞は落ちる
Le sol est couvert de poussière.
「床がホコリで覆われている」
( de+de la poussière ) 部分冠詞は落ちる
Le jardin est couvert de fleurs.
「庭は花で覆われている」
( de+des fleurs) 不定冠詞複数は落ちる
J’ai besoin d’une cuiller.
「スプーン1本必要なんだけど」
不定冠詞単数は残る。
J’ai besoin de ciseaux.
「はさみが要るんだけど」
(de+des ciseaux ) 不定冠詞複数は落ちる
J’ai besoin d’amour.
「ぼくは愛が必要なんだ」
( de+de l’amour) 部分冠詞は落ちる
J’ai besoin de l’argent que tu me dois.
「君に貸したお金が必要なんだけど」
Tu me dois.「君は私に借りがある」定冠詞は残る
Je vais mourir de chagrin.
「悲しみで死んじゃいそうだ!」
(de+du chagrin) 部分冠詞は落ちる
Je vais mourir d’un chagrin d’amour.
「失恋の悲しみで死んじゃいそうだ」
不定冠詞単数は残る
Je parle de la photo qui est sur la table.
「テーブルの上にある写真について話してるんだ」
定冠詞は残る
On parle des meilleurs livres à lire.
「読むべき最良の本について話してるんだ」
(de + les meilleurs livres = des meilleurs livres) 定冠詞は残る
ここで、ちょっと【名詞+DE+名詞】についてみてみたいと思います。
【名詞+DE+名詞】における無冠詞
この語形はよく使うのですが、後ろの名詞の冠詞のつかい方が非常に難解です。冠詞において一番むつかしいテーマじゃないかと思います。私も完全には理解できていないのですが、一応の目安としている考え方を述べておきます。
まず次のポイントを思い出しておきます。
ポイント1
【定冠詞】① 物事の全体を指す。② 物事の身元の特定。(話の流れや一般性から、物事が特定されいる、または容易に特定できる場合につかう。)
【不定冠詞/部分冠詞】物事の身元を特定しない場合。前者は数えられる名詞につかう。後者は数えられない名詞につかい、部分をあらわす。
前置詞 DE のあとでは、不定冠詞の複数 des と部分冠詞は落ちる。
上記ポイントを思い出しておいて、次のポイント3も何となく頭に残します。
それではみていきます。
de l’eau de mer
「海水」
単に海水という意味。de mer が形容詞のように eau にくっついて働いてます。海が特定されると l’eau de la mer Morte「死海の水」のように定冠詞で海が特定されます。
du lait de chèvre
「ヤギミルク」
上と同様 de chèvre が lait にくっついて形容詞のようになってます。
C’est la clé de la voiture.
「それ車のカギだよ」
la voiture = 定冠詞がついているので身元が既に特定、または容易に特定できる車。車が特定できているため、カギも定冠詞で特定されています。 « la clé de voiture » といっても同じ効果ですが、de voiture がカギを形容しているだけで、車の特定はしないので、単なる「車のカギ」ときこえます。
“Je ne connais pas cette clé. On dirait une clé de coffre-fort…”
「このカギ知らないな。金庫のカギっぽいけど…」
une clé = 不定冠詞でカギの身元不明な様子がわかります。カギ自身が身元不明なので、金庫の身元も特定はできません。
un homme d’affaires
「実業家」
des affaires = 複数形「商売ビジネス」。元は de + des affaires で不定冠詞複数 des が落ちて d’affaires になってると考えられます。
le roi des animaux
「百獣の王」
le roi = 王様は普通1つなので定冠詞で特定。des animaux = de + les animaux。定冠詞複数 lesで全種類の動物を総まとめで指します。
以上が【名詞+ DE+名詞】の冠詞についての大まかな考え方です。実際は「ルール通り説明できない」表現がチラホラ出てくるので、その時はそのまま覚えて行くしかないのかなあと思っています。
(例) l’armée de terre/ l’armée de mer/ l’armée de l’air
「陸軍/ 海軍/ 空軍」
なんで空軍だけ冠詞がつくのか…?
Ⅲ.【SANS】【AVEC】のあとでの無冠詞
【SANS】のあとは基本、冠詞が落ちます。
Je prends mon café sans sucre.
カフェは砂糖なしで飲む
Il n’y a pas d’amour sans confiance.
信頼なくして愛はない。
【AVEC】は「抽象名詞」があとに来る場合、冠詞が落ちることが多いです。
avec patience / avec force/ avec plaisir…
(「具象名詞」の冠詞は残りますよ !【例】avec du sucre )
Remarque 定冠詞や不定冠詞単数の名詞で、「形容詞などで個性化されている名詞」または「1つのという意味を強調する場合」には、その冠詞は残ります。 【例】Il se déplace sans un bruit. 「彼は物音ひとつ立てずに移動する」 → 物音 “1つ” が強調される必要があるので冠詞は残っています。 【例】avec un grand plaisir/avec un beau sourire → 形容詞で個性化されている例ですね。
Ⅳ.【職業・国籍・宗教】表現での無冠詞
動詞 « être » をつかって「職業・国籍・宗教」をいう場合は 冠詞はつきません。
ただし « C’est » の文であれば冠詞は必要です。
Il est musicien./ Elle est japonaise./ Ils sont chrétiens.
C’est un bon musicien./ C’est une Française./ Ce sont des chrétiens.
おわりに
ふ〜最後は息切れしてしまいましたが、これで4回続いた【冠詞】のはなしも一旦おわりです。説明がなかなか上手くできず、何だかややこしく感じたかもしれませんが🙇♀️、各冠詞の持つ “基本的な意味と役割” をつかんでおくと、冠詞ストレスからの開放が早くなると思います。
そして、いろんな文章を目にするたびに、読む時はおろそかにしがちな「冠詞」を意識して読んでみてください。冠詞の感覚をつかむ大きな手助けになると思います。
それではまた次回♪
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