みなさん、こんにちは。
今日は、フランス流「チーズの切り方」です。
ある日、友人宅で催された、気の知れた仲間内の夕食会にて。
いつもの様にアペロから始まって、メイン料理も美味しくいただいて、チーズになったときのこと。
チーズプレートを回して、各自がチーズをお皿によそっていき、最後に主催女性にプレートが渡ったとき、彼女がサラッとこう言ったのです。
「あらら、こんな風に切っちゃって。最後の人、皮ばっかになるやんねぇ…」
チーズの切り方なんて知らないフランス人も普通にいるし、そんなんどうでもいいや〜ん!と思ってる人もたくさんいます。
でも私は、テーブルマナーは特に厳しく教育されたという、彼女の言うことに共感しました。
そう、みんなチーズの端っこの処理はしたくないのです。おまけに固い皮付近の味はマズイ!
日本もチーズ文化はかなり定着したけど、みなでチーズを楽しむ場面はまだ稀です。切り方なんて知らなくても特に問題はありません。
だけど個人的にはとても面白いテーマだと思ったので、今日は知ってて楽しい「チーズの切り方」について、すこしお話したいと思います。
フランスの「チーズの切り方」
フランスにはチーズが300種以上あると言われています。
でも、切り方に関係してくるのは、チーズの形や生地の性質なので、それほど種類はありません。
それに同じチーズでも、切り売りサイズが様々なので、切り方の答えは一通りではありません。要は、融通を利かせて切っていくことが大切になります。
それでは知っておくと便利な、基本のカットをみてみましょ!
チーズのタイプ別「基本の切り方」
「カモンベール」のような円盤形のチーズは、ホールケーキを切るように切ります。
「ブリー」の切り売りのように、大きな円盤がすでにケーキ型にカットされた一切れの場合。鼻先から外側へ平行カットするのではなく、鼻を少し落として径を短くし、常に尖った先端を作るようにカットしてゆきます。
「クロタン」や「ピコドン」のような小さな円柱のチーズは、ケーキカットと同じように十字にザクッと切ります。
「ポンレヴェック」のように四角形のチーズは、円盤型と同じように、中心点をとってケーキカットします。
ハート型のチーズも、四角形や円盤型と同じく、中心点からケーキカットします。
ピラミッド型のチーズの場合、背丈があるのでちょっと切りにくいですが、四角形の中心から縦にケーキカットします。円柱形の場合も同じです。
「コンテ」「モルビエ」「オッソイラティ」のような適度な厚さにスライスされた (セミ) ハードチーズの場合。最初は外皮に対して平行に切り進み、途中から外皮を分かち合うように扇型にカットします。
「サンモール」など、丸太型になったチーズは輪切りにします。真ん中に藁が1本通っている場合は、それを引き抜いて切ります。抜かずに切るとボロボロに壊れやすいです。
「ロックフォール」など切り売りの青カビチーズは、径が短いので、いきなり扇型に切っていきます。
長期熟成の「ミモレット」のような、カチカチのハードチーズの場合。ナイフで切ってもボロボロに崩れる場合は、刃の先で自然に崩して欠片にしていきます。キッチリ刃を入れて切るよりも、だんぜん美味しい。
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以上がフランスのチーズの切り方でした。たとえばコンテを、最後まで外皮に対して平行に切っていくと、最後誰かがおいしくない部分ばっかりを独りで処理することになります。
要はそうならない様に、マズくて面倒くさい皮付近の処理を、みんなで分かち合うように切っていくのです。
でももちろん、自分ひとりで食べる場合は、自分の好きなように切って食べて問題ないのです。
大切なのは、ひとりも、みんなも、気持ちよく美味しく食べることです。
それではまた次回♪
La belle assiette – Maîtrisez-vous l’art de découper le fromage ?