赤い村【コロンジュ・ラ・ルージュ】フランスの最も美しい村の発祥の地

 

ラスコー・パディラック洞窟の旅の最終回は、

前回紹介したロカマドールから車で1時間ほどの距離にある、

童話にでてくるような真っ赤な村「コロンジュ・ラ・ルージュ」を紹介します。

 

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赤い石の村「コロンジュ・ラ・ルージュ」

かの有名な「フランスの最も美しい村」協会は、1982年に、ここ「コロンジュ・ラ・ルージュ」の市長が中心になって立ち上げられました。

何より目を惹くのが、村全体が「赤い」こと。これは使われている石に含まれる酸化鉄によるもので、独特の深く温かい色味が出るのが特徴です。

コロンジュの歴史は8世紀終わり頃まで遡り、リモージュのロジェ伯爵により、この地がベネディクト会シャルー修道院に寄贈されたという記録があります。

その後は、ロカマドールへ向かう巡礼者たちの宿泊地として栄え、15世紀にはトゥレンヌ子爵領の名士たちの居住地として発展しました。その頃の城や塔が今も多く残っています。

この村は中世色がかなり残っており、目を引くものが多いですが、特に私が興味を持ったのは教会でした。

サン・ピエール教会の物議をかもす美しいタンパン

サン・ピエール教会のタンパン。下段にマリア(左から6番目)と11人の使徒。

サン・ピエール教会は12世紀初頭に建てられ、14〜16世紀に数回増築して要塞化されました。

12世紀のトゥルーズの職人作とされる美しいタンパンは、非常に保存状態の良いオリジナルで、赤砂岩でなくナザレ石灰岩で作られています。

宗教戦争の間、敬虔なカトリック信者であったコロンジュの人々は、ユグノー派の暴挙からタンパンを守るべく、取り外して教会の屋根裏に隠し、3世紀半後の1923年、第1次大戦後の教会修復時に発見されました。

普通タンパンは、何のシーンを表しているのか明確なものですが、ここのタンパンははっきりせず、キリストの「昇天」か「再臨」かで揉めています。

「昇天」派の言い分は、再臨だとマチアスが既に12番目の使徒(ユダの後任)として加わっているはずなのに、ここは11人しかいないから。

「再臨」派の言い分は、息子の昇天には聖母マリアは居なかったこと、タンパンのキリストが手にしている本は、見るからに黙示録の7つの封印の書であること。

ただ、コロンジュから70kmほど離れたカオール(cahors)の大聖堂のタンパンが、似たようなモチーフで「昇天」という解釈になっているため、個人的には「昇天」に一票です。

サン・ピエール教会の隣にある “Chapelle des Pénitents Noirs” (黒い懺悔者たちの礼拝堂)

今回のラスコー洞窟とパディラック洞窟の旅は、自然や文明の歴史の重みを体感した、内容の濃い旅でした。

もし機会があれば、行ってみてください。おすすめです。

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