ゴシック様式も荘厳で美しいですが、ロマネスク様式の素朴な佇まいは、また別の美しさがあります。
今回はチーズでも有名なオーヴェルニュ地方カンタル県にある、小さな村シェラドのサン・レジェ教会を訪ねました。
シェラドのサン・レジェ教会
シェラドは、人口が350人ほどの小さな谷間の村です。夏には周辺の山に放牧された牛たちのカウベルの音を聞くことができる、自然に囲まれたのどかな田舎です。
L’église Saint-Léger de Cheylade
その村にあるサンレジェ教会は、12世紀に建てられましたが、100年戦争の間にイングランドによって破壊され、その後15世紀に修復されます。
ロマネスク様式の教会は、ゴシックにくらべて壁も分厚く、窓も小さいので、内部は暗いことが多いのですが、ここの教会は違いました。
照明ももちろんあるのですが、それ以上に天井一面にはられたパネルの多彩な色合いが、室内を明るく感じさせています。
この教会のアーチ状の天井を飾る、格子状にはめられたモザイクは特に有名で、小さな教会のなかにギュッと宝石が詰まったかのように感じられ、見る者を圧倒します。
この天井の装飾は、1610年から1614年の間に施されました。1428枚のカシの木のパネルからなり、動物、花、果物、天使、紋章、空想の動物など、様々なモチーフが描かれています。
唯一、人間のモチーフとして、杖をもった羊飼いのパネルが一枚だけあるそうですが、残念ながら見つけられませんでした。。。
教会入り口の小さな扉は、とても分厚い木でできていて、余計な装飾もありません。このブコツな風合いが、このロマネスク様式の小さな教会にとても似合っていました。
天井や柱はもちろん、石の十字架や像が持つびっくりするぐらい温かい質感からは、何世紀にもわたる年月の経過を肌で感じることができました。
しょぼい写真技術なので、上手くその質感を伝えられてないのが残念ですが、ロマネスクファンには一度は訪れてほしい教会です。