幼少の思い出というのは「香り」と共にあることが多いです。
まさにプルーストのマドレーヌ。
香りで古い記憶が引き出されたり、回想すると香りが漂ってきたりします。
日本の春の匂いと言えば「桜」。
毎年、新学期のシーズンになると、私の通っていた小学校の通学路は「桜のトンネル」に大変身しました。
蕾が膨らみ、満開になり、最後は桜吹雪になり…
葉桜の頃にできる黒いサクランボを、不味いのを分かっててツマミ食いしたり。樹皮にできる琥珀色のヤニを引っぱって遊んだり。桜に住む毛虫やセミを探したり、美しく紅葉した葉っぱを収集したり…
登下校はつまんないので、こうして五感を使って楽しんでいました。
子供は敏感なのでしょうね。快晴の日の桜の匂い、雨の日の桜の匂い、全ての特徴を敏感に嗅ぎ分け、無意識のうちに脳裏に刷り込んでいます。
パリ郊外でも、リラや藤など、春の香りを放つ庭木は多く見られます。ですが日本の桜並木のように「街が香る」ということはありません。
たまに「この香り知ってる…!」と辺を見回すと、1本の満開の桜の木が目に飛び込んできます。するとウン十年も前の、ご近所のおばさんの顔がフッと頭に浮かんできて… 苦笑いをしつつも、懐かしさが込み上げる瞬間です。
桜と金木犀の香りは、幼少の思い出そのままです。
私は自然や植物の匂いが古い記憶と結びつき易いのですが、フランス人は食べ物の匂いが結びつき易いとか。。。プルースト万歳!
「さくらんぼクラフティ」のレシピ
やってきました、サクランボの実る季節!フランスでチェリーケーキといえば、クラフティ。タルト生地を用意する必要もなく、とても便利なレシピです。
牛乳の量を調整することで、焼き上がりの生地をスポンジ系〜フロン(プリン)系まで色々できます。お好みを見つけてください。リンゴ、洋梨、アプリコットなどでも作れます。
材料 (約1,3Lの焼型)
サクランボ : 500-800g
バター : 30g
卵 : 3コ
砂糖 : 100g
小麦粉 : 180g
アーモンドプードル : 100g (なくても良い)
牛乳 : 250ml
塩 : 1つまみ
バニラ香料 : 適宜
作り方
①オーブンを180℃に温める。分量のバターは溶かす。サクランボは洗って水気をふく。
②ボールに全ての粉物 (小麦粉・アーモンド粉・砂糖・塩) を入れて混ぜる。
③②に溶き卵・牛乳・溶かしバターを順番に、少しずつ入れながら泡立て器でよく混ぜる。
④生地をバニラやラム酒などお好みで香り付をし、サクランボを入れてざっくり混ぜる。
⑤バターを塗った型に生地を流し込む。
⑥オーブン180℃で40分ほど焼く。
ポイント - サクランボは焼生地にアーモンド香を出すため「種あり」で使うのが伝統ですが、「種なし」でもOK。種抜きはストローで押し出すと簡単です。 - サクランボはアメリカンチェリーなど黒い系の大味な品種の方がお菓子には合います。