家の地下室に眠ったままの古本を整理して見つけた、フランスの古い本を紹介するシリーズ、最終回。
今回は、イラストが気に入った本と、童話集を少し紹介しようと思います。
過去の記事はコチラです↓
今日は、フランスの古い本の話。 私にとって「古い洋書」といえば、映画ネバーエンディングストーリー (古くてごめんなさい) の主人公が読んでる、紋章入りのあのゴツい本。 もう少し新しい例だと、ハリーポッターのホグワーツの魔法薬書みたいの。[…]
前回に続いて、フランスの古い本の紹介、第2弾。 家の地下室に眠っている古本を整理しがてら見つけた、すてきな本を紹介していきます。 前回の記事はコチラです↓ [sitecard subtitle=[…]
今回、新たに発掘した古本で、一番のお気に入りがコレ。↓
La Cuisine Au Fil des Saisons, Suzanne Laboureur, Jacques Ferrand, PEMA, 1959
これは当時、冷蔵庫フリジデール « Frigidaire » に付いてきたハンドブック。
料理レシピはもちろん、季節の献立や、食品の保存方法など解説してあります。
この郷愁を感じさせるイラストの風合いが大好きで、ページをめくる度に胸がキュンとなる本。
お次は、ちょっと大人レトロな本。
Alphonse Allais, Vive La Vie !, Flammarion, 1963
↑アルフォンス・アレ (1854-1905) はユモリスト作家。
彼のユーモアは高難度の言葉遊びが多く、少し読もうとしましたが無謀でした。
こんな素敵な挿絵の本の読書ができたら、さぞかし楽しいだろうに。中身が理解できないなんて、残念この上ない。
いつか、フランス語のユーモアも楽しめるようになりたいです。
ここからはちょっと、児童文学。
まずは王道、アラブの古い物語「千夜一夜」。
Les mille et une nuits, traduits par Galland,
nouvelle édition, corrigée et revêtue de l’approbation de l’abbé Lejeune, Lehuby, 1843
かの有名なアラビアンナイトをヨーロッパに広めた旗手って、フランス人だったんですね。
18世紀初頭、アントワーヌ・ギャロンがアラビア語から翻訳したのが始まり。
それを元に、後世の人が研究を続けて色んな版を作り、それをまた誰かが手直して出版したりと、今や多数の言語で多数のバージョンが存在します。
家にあったのは、そのギャロン版を元に手直し出版されたもので、1巻だけなのでかなりの夜が端折られています。
お次は、フランスの童話集。
Contes des Fées, par Perrault, Mme D’Aulnoy, Hamilton et Mme Leprince de Beaumont, Garnier Frères
赤ずきん、青髭、眠れる森の美女、シンデレラ、白い猫、白い雌鹿、美女と野獣・・・有名どころ満載の一冊。
19世紀末の出版で表紙は傷んで外れかけですが、中のページはほとんど日焼けもなく健康体。
それぞれの話の最後には「モラル」がきっちり記されており、時代の教育を感じます。
つぎは、アメリカ文学からの翻訳もの。
ジャック・ロンドンの『白い牙』(1906) のフランス語版。↓
Jack London, Croc-Blanc, Hachette, 1932
懐かしい、大昔に読んだなあ。
素朴だけど丁寧に描かれている挿絵がすてきです。
これだったら私にも読めるか?
・・・・・・・
今でこそ、カラーやイラスト満載の本は当たり前にあるけど、100年くらい前はまだ珍しかったんですね。
青少年向けとされる本も、ジュール・ヴェルヌの作品みたく、しっかり文章があって白黒の挿絵が付くといった簡素な作り。
まだ字が読めない子供には、大人が挿絵を見せながら読み聞かせたんでしょうか。
昔の人は、お気に入りの本に所有者のサインを入れることが多いのですが、この最後に紹介した本『白い牙』には、アルジェリア戦争に出向き20歳の若さで亡くなった義叔父のサインがありました。
毎年お墓参りするだけで会ったこともない人だけど、彼はこの本に思い入れがあったと思うと切なくなりました。
この本は大切に家の本棚に保管しようと思います。