前回に続いて、フランスの古い本の紹介、第2弾。
家の地下室に眠っている古本を整理しがてら見つけた、すてきな本を紹介していきます。
前回の記事はコチラです↓
今日は、フランスの古い本の話。 私にとって「古い洋書」といえば、映画ネバーエンディングストーリー (古くてごめんなさい) の主人公が読んでる、紋章入りのあのゴツい本。 もう少し新しい例だと、ハリーポッターのホグワーツの魔法薬書みたいの。[…]
まず、今回発掘した本で一番古かったのはコレ↓
René Aubert de Vertot,
Histoire des revolutions arrivés dans le gouvernement de la république romaine,
tome1-4, Menard et Desenne, 1819,
『古代ローマ共和国政府で起こった革命の歴史』今から200年前の本。
さすがに紙は日焼けしてるけど、案外と状態の良い、長寿な本です。
左 La Chanson de Roland; d’après le manuscrit d’Oxford, J.Bédier, L’édition d’art H.Piazza, 1922
右A.Thierry, Récits des Temps Mérovingiens, Michel Lévy Frères, 1868
↑フランス文学史をかじると必ず耳にする叙事詩『ローランの歌』。
かの有名な「デュランダルの剣」の起源。11世紀末ごろに書かれたとされ、作者は不明。
左頁にオリジナルのアングロ=ノルマン語、右頁に現代フランス語での訳が載っています。
↑『メロヴィング朝時代の話』1868年出版。
そういえば学校で習ったな、メロヴィング朝とかクローヴィスとか。
19世紀の本ではたびたび、出版年にローマ数字を使っているのを見かけます。
M DCCC LXVIII = 1868
お、美しい本が出てきました。
Comtesse Drohojowska,
Les Femmes Illustres De La France,
Lehuby (1860頃)
↑『フランスの有名な女性たち』
装丁は黒・金・パステル色を中心にデザインされ、ゴージャス女子な感じ満載。
ジャンヌダルク、マントノン夫人、ラファイエット夫人など、有名なフランス女性がイラストと共に紹介されています。
↑いやはや、栞がなんとも。
この本の持ち主は敬虔なカトリック信者だったのでしょうね。
音楽に関する本も出てきました。
L. de Fourcaud, A.Pougin, L.Pradel,
La Salle Pleyel,
Librairies-imprimeries réunies, 1893
↑1839年の完成以来ずっと現役の、パリにある音楽ホール「サル・プレイエル」の歴史本。
19世紀末の出版物にしては珍しくハイテクな作り。
高品質なソフトカバーとページ紙、中には資料として写真も掲載されており、現代の本と遜色ない感じです。
もう一冊、音楽の本を発見。
Casimir Colomb, La Musique,
Hachette et Cie, 1880
アシェット出版の1865年から1956年まで続いた『ビブリオテック・デメルヴェイユ』という、百科事典みたいな定期刊行本シリーズの1冊「音楽」 。写真はシリーズの豪華装丁版。
↑木版画による挿絵がたくさん。手が混んでます。
この本は素人向けに書いたと執筆者の前書きがあるのですが、その割にものすごく難しい。
つぎに見つけたのは、科学の本。
もうだいぶ見慣れてきましたね、豪華装丁。
見返しにある記録によると、学年1等賞だった理系女子〇〇ちゃんへの、学校からの記念品だったよう。
Daniel Bellet,
Promenades Amusantes A Traverts la Science,
Hachette et Cie, 1913
↑液体の重さの実験に、ワインを使っているのがフランスらしい。
↑動く人形の構造とか。この人形ならあんまり動かないで欲しいかな、、、
その他にも、錯視、腕時計で方角を知る方法、毛細管現象の実験など、生活に身近な科学が解説されています。
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2週間ほど前から、家のカーブに眠っている古本を整理しています。
もうウン十年も箱の中に入れたままなので、要る本は本棚に、要らない本は処分しているのです。
強烈なホコリとの戦いで大変ですが、古い本を物色するのは、知らない歴史をほじくり返すみたいで、けっこう楽しい。
古本は触感が苦手で、今までまったく興味がなかったのですが、今回の経験でちょっと視点が変わりそうな気もします。
本だってきっちりメンテナンスされていれば、美しい古物になるのだなと思いました。