秋晴れの下、
黄金に色づいた広大なブドウ畑と、放牧中の牛の横を車で走り抜ける【アルザスの旅】は、予想以上に爽快でした。
クリスマスシーズンのアルザス観光は有名ですが、秋も素敵です。
観光客は多過ぎず、気候も寒すぎずで、とても快適に旅を満喫できる季節だと感じます。
今回は、アルザス育ちの友人に教えてもらった観光ポイントを元に「ストラスブール、コルマール、ミュルーズ」そして「ワイン街道の村」をいくつか訪ねました。
秋のアルザスを旅する。
まずは、欧州議会の本会議場のある【ストラスブール】。
パリから車で5時間ほど走ると、ストラスブールに到着。街中は自転車がとても多くて運転しにくいので、観光の移動にはトラムを使いました。本数も多いので便利です。
↑17世紀頃のコロンバージュと呼ばれる木組の家が川沿いに立ち並ぶ「ラプチットフランス」地区。
皮なめし工が多くいたこの界隈には、洗った皮を乾かせるよう、屋根裏が吹き抜けになった造りの家々が、今でもそのまま残っています。
↑ラプチットフランス地区から10分ほど歩くと、狭い通りの向こうに突如、ニョキっと巨大な聖堂が現れます。
塔の天辺までの高さは142m。近隣で採れる赤い砂岩を使って、12世紀後期から300年近くかけて建てられたゴシック建築の傑作です。
外壁は緻密なデザインがみっちりと施されており、聖堂内部は直径14mもあるバラ窓をはじめ、宝石がバラ撒かれたような神々しい光を放つステンドグラスに囲われています。
↑そして聖堂内にある、1574年に作られた天文時計。ルネサンス期の数学の知識と技術の集大成で、現在も12時半になるとカラクリ人形が動き出します。
ストラスブールには、歴史博物館などミュゼもあります。アルザスの歴史や文化に興味のある方は、ぜひ行ってみてください。
次に訪ねたのが【コルマール】。
この街は「ラプチットヴニーズ」小さいベネチアとよばれる地区が、風情ある観光エリアとなっています。コルマールはストラスブールよりも小さい街ですが、アルザスの特徴が非常によく凝縮された街です。
↑コルマールの可愛い街並みを眺めつつ「アンシ美術館」へ寄り道。
アンシ (1873-1951) はコルマール出身の画家で、反ドイツとフランス愛国心を面白おかしく表現した作品で有名です。
1階がブティックになったワンフロアだけの小さい美術館ですが、50年間ドイツ領になっていたアルザスの歴史をアンシ視点で見れる、とても興味深い美術館でした。
そして最後は【ミュルーズ】。
ミュルーズの街はアルザス特有の風情はないのですが、今回ここへ来た目的は「自動車博物館」を訪ねることでした。クラシックカー好きにはオススメ。ものすごい数のレトロな自動車が、ピッカピカな状態で展示されています。
そして、上記の3都市の移動の合間に訪ねたのが【ワイン街道】にある村々です。
ワイン街道は、北はマルレンハイムから南はタンまで、ストラスブールからミュルーズまでの高速道路に並行して走っています。途中いくつかの村で立ち止まって散策し、気になるワイン蔵があれば立ち寄りました。
↑中世の面影を強く残した「リクヴィル」。アルザス特有のカラフルなコロンバージュ造りの家が可愛い村で、お土産屋さんを覗きつつ、30分もあれば十分に散策できる小さな村です。
↑「カイゼルスベルク」には午後遅くに到着。村を流れる川の水音がよく聞こえ、落ち着いた情緒ある村でした。近くの丘には城があり、村を一望することができます。
上記の2村以外にも、エギサイム、リヴォービレなど、観光向けの有名な村がワイン街道にはあります。そして街道周辺には、いい具合にさびれた村や城もあるので、時間がたっぷりあるなら、そういった隠れ名所を散策するのも楽しいと思います。
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今回の旅は4泊しましたが、行きたかった所 (村や城や修道院など) は、全部は回りきれませんでした。限られた時間でアルザスの風情を楽しむなら、コルマールとその周辺のワイン街道の村に集中するのがオススメです。
ストラスブールの大聖堂は一見の価値ありですが、なにぶん都会。今思えば、それほど長居する必要なかったなあと思います。またアルザスを再訪する機会があるなら、コルマール周辺をじっくり散策したいと思いました。