ついに念願の「フジタ礼拝堂」を見学に、ランスに行ってきました。
もちろん、当時のフジタのゴッドファーザーが社長を務めていた、シャンパン工房のメゾン・マムにも忘れずお邪魔しましたよ。
「フジタ礼拝堂」を訪ねる
私がフジタの絵に出会ったのは20代始め。
とある書店で、新しく出版される彼の画集の広告に使われていた作品『カフェ』に一目惚れ。
それまで絵画には全く興味がなく、ブランドの鞄を買うためにせっせと貯金に励んでいたような女子が、何を血迷ったか、良く知りもしない人の画集に2万円を即決で投入。
そこから私のフジタ歴が始まりました。
一目惚れした彼について調べていくうち、「猫」をモチーフにした作品が多数あることに気づきます。
私にとって猫は漫画の素材という妙な先入観があったので、目から鱗だったと同時に、絵画が少し近しく感じた瞬間でもありました。
もちろん彼の作品全てが好みなわけではないけど、子供や小物をモチーフにした作品はとくに大好き。
上品で繊細、モダンでスタイリッシュなのに、ホットミルクのような甘い香りとクラシック感も漂い、ずっと眺めていたくなる中毒性があります。
そして今回、フランスはランスで、念願の「チャペルFOUJITA」を訪問しました。
ネットにわんさとある情報のおかげで、チャペル内のフレスコ画の詳細は理解していましたが、実物はやっぱり迫力が違います。
礼拝堂に一歩足を踏み入れると、そこは360度四方、200㎡もの壁が温かい色彩のフレスコ画で覆われた空間。
フジタが下絵を描いた、緑色のステンドグラスも一層空間をきらびやかにしており、まるで自分が宝石箱の中に居るような錯覚を覚えます。
このチャペルは、彼の画家としての思いが詰まった80年の人生の集大成で、その力強さと美しさには、心底感動しました。
時間があれば、フジタ作品の展示室があるランス美術館に寄るのもよさそうです。
ちょっと寄り道「マム」シャンパンセラー
フジタ礼拝堂の迫力に圧倒され、ボーとした頭で、向かいにある200年の歴史を持つシャンパン会社『マム』を見学しました。
25kmに及ぶ巨大な地下カーヴは迷路そのもの。迷子にならないよう(?) 各通路に名前が付けられています。
今ではもう使われていない地下カーヴですが、シャンパンの長い歴史を細かく知ることができます。
1時間半のガイド付き見学の最後には、もちろんお待ちかね、一杯、美味しく試飲させていただきました。
しかしまあ、やっぱりシャンパンは高価ですね。
飲むならある程度良いクラスでないと頭が痛くなるし、でもその値段出すならワインがいいなあ、、、となるのが私のいつものパターンで。
さんざん悩んだ末、売店では何も購入せずセラーを後にしました。
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日々、数え切れないほど人や物との新しい出会いがありますが、その数ある中でも、自分に大きな影響を与える出会いはそれほど頻繁ではありません。
芸術作品は時折、知識人の評価だけが正しいみたいなところがあって、特に絵画は私にとって敷居の高い分野の代表でしたが、その固定観念とある種の食わず嫌いを一掃したのが、フジタの絵との出会いでした。
画壇で食べていくつもりなら話は別でしょうが、愛好するだけなら、その作品が好きか嫌いか、何を感じるかとか、そういった鑑賞の仕方でもいいじゃないかと。
好きな絵に出会う、絵を鑑賞するって、こんなに素敵なんだよと教えてくれたフジタに、本当に感謝です。