みなさん、こんにちは。
今日のお菓子は「マドレーヌ」と「フィナンシェ」です。
「マドレーヌ」と言えばプルースト。紅茶に浸した一かけのマドレーヌの香りから、幼少期がよみがえる〜。これはビスケットでは出来ない表現ですね。
むかし私が小さかった頃、「マドレーヌ」は縁がヒラヒラした円形の平カップに入っていました。母が作るのも、店で売られているのもこの型。卵の風味がたった焼き生地で、口当たりは軽め。牛乳といっしょに食べる子供の口には、とても美味しく感じたのを覚えています。
それがいつの間にか、マドレーヌといえばフランスの貝殻型が主流になり、オシャレ度がアップ。そしてマドレーヌの兄弟菓子みたいな「フィナンシェ」も登場。よりしっとりした口当たりで、バターとアーモンドの香りが良く利いた、一口サイズの大人な焼き菓子。
この2つのフランス発祥のお菓子、いったいどんな歴史があるのか…
ちょっと覗いてみたいと思います♪
Table des matière
【マドレーヌとフィナンシェ】の話
マドレーヌさんの作った「マドレーヌ」
マドレーヌの由来は2つあります。
1つ目は、1755年のロレーヌ公スタニスラス・レグザンスキ (ルイ15世の義父) のはなし。ある日、公がコメルシー城で企画した歓迎会で、料理長と執事がケンカをしてしまい、招待客にふるまうお菓子が用意できなくなりました。そのとき、厨房にいた召使いのマドレーヌ・ポルミエが、彼女の祖母のレシピの焼き菓子を作ります。それが皆に大好評!ロレーヌ公はそのお菓子を「マドレーヌ」と名付けました。
2つ目の由来は、上記とは別のマドレーヌさんが、ホタテの貝殻に入れて焼いたお菓子を、サンジャック・ド・コンポステル (サンチアゴ・デ・コンポステーラ) の巡礼者たちに配った、という話です。この巡礼のロゴは歴史的にホタテ貝 (サンジャック) なので、これも満更いい加減な説ではない気がします。
どちらの説が正解というものでもないので、みなさんの好きな方でマドレーヌを語ってみてください。
では次に「フィナンシェ」の歴史を覗きましょ。
金の塊「フィナンシェ」
「フィナンシェ」はみなさんご存知のとおり、アーモンドと焦がしバターの香りの強いお菓子です。
フィナンシェの元祖は、17世紀ごろのフランスの街ナンシーの、聖母訪問会の修道女たちによって作られていた小舟型のお菓子。修道会の名前から「ヴィジトンディンヌ (visitandine)」 と呼ばれていました。
レシピが卵白だけを使うのも、当時の修道女たちが肉を禁じられていたことや、黄身は色料に多く使われていたためと考えられています。 たしかに卵白だけを使うのは、「白身だけ余ってるから」という場合が多いので、十分にありえる説だと思います。
その後1890年ごろ、パリのブルス地区 (金融街) で店を開いていた菓子職人ロンヌが、このヴィジトンディンヌに改良を加え販売し、大成功を収めます。彼はセッカチな金融界の客たちが、指を汚さず、お菓子を親指に乗せただけでサッと食べられるように、平たい四角の金塊型にしました。そして名前もフィナンシェ「金融家」と名付けます。 お菓子にしては、変わった名前です。
カンタン材料紹介
—マドレーヌ 4人分—
砂糖150g
全卵2
溶かしバター125g
薄力粉150g
ベーキング粉
レモン・オレンジの皮など
—フィナンシェ 5人分—
砂糖150g
卵白3
焦がしバター130g
薄力粉50g
アーモンドプードル80g
美味しいマドレーヌの見分け方は、焼き上がったマドレーヌのコブが均一にきれいに盛り上がっているかが、ひとつの指標にされます。 焼き温度を上手くコントロールできているということですね。
最近はマドレーヌも色んなヴァリエーションがあります。プレーン、ココア、ピスタチオ、イチゴ、レモン… もちろんフィナンシェも負けてはおらず、アペロに使えるオリーヴ入りなど、塩気の利いたものも。
みなさんはどんなマドレーヌが好きですか?それともフィナンシェ派?
Le Monde- Gastronomie- Le financier, un goût d’enfance
Les P’tit gateaux- Financiers
La petite histoire de pâtisserie française- Benkhadra Zakari
L’art culinaire français- Flammarion (1953)