カスタードソースの海に、カラメルのかかった、メレンゲの島が浮かんだデザート、
【イルフロットントゥ】または【ズアラネージュ】
シュワシュワと口の中で溶ける感覚が楽しい、フランスのレストランのデザートの定番で、焼き菓子とは違った、口当たりの軽さが魅力です。
この2つのデザート、同じレシピとして扱われることが多いですが、じつはメレンゲの調理の仕方が少し異なります。
どんな違いがあるのか、お菓子の歴史とともに少し覗いてみましょ♪
【イルフロットントゥ】と【ズアラネージュ】
「イルフロットントゥ」と「ズアラネージュ」はどちらも、加熱されたメレンゲをカスタードソースに浮かべ、カラメルソースをかけたデザート。
今では好きな方の名前をつかう傾向にありますが、厳密には卵白の加熱の仕方が異なり、そこにこだわる人もいます。
Île flottante
「イルフロットントゥ」は、浮島。カスタードの海にメレンゲの島が浮いてるところからの、洒落たネーミングです。固く立てたメレンゲは、カラメルを敷いた型に入れてオーブンで湯煎加熱します。
Œufs à la neige
「ズアラネージュ」は、雪のような卵。これもキレイな名前です。メレンゲはスプーンですくって玉子形に整え、鍋に沸かした牛乳か湯の中に落とし、軽く茹でます。
厳密にはこのような差があるようですが、現在では、名前とレシピは混ぜこぜになっています。
イルフロットントの昔の姿
*1886年当時のイルフロットントゥは、ホール菓子でした。オレンジ花水やバラ水で香り付けしたリンゴのピュレにメレンゲを混ぜ込み、それをジュレやカスタードプリンの上に乗せたもの、という記録があるようです。
その後、料理人エスコフィエのレシピでは、古くなったビスキュイドサヴォワを使います。ビスキュイの薄切りをキルシュに浸し、アプリコットジャムを塗り、ホイップ生クリームで全体を覆って、ピスタチオとレーズンを散らします。そのケーキをドンッと器に置き、周囲にカスタードソースとフランボワーズのシロップを注いで完成でした。
ちなみにビスキュイドサヴォワとは、卵・小麦粉・砂糖・ジャガイモ澱粉を使った、レモン風味のスポンジ系焼き菓子です。
現在の口当たりの軽い「イルフロットントゥ」の姿は、一体どこに〜?という感じの旧レシピですね。
機会があればイルフロットントゥ、もしくはズアラネージュを食べてみてね。ちょっと珍しいしスイーツだし、ゴハン会のデザートに作ってみるのもいいかも知れません。カスタードソースはキンキンに冷えている方が断トツ美味しいです。
それではまた次回♪
-L’art culinaire Française (1953) Flammarion
-*750g- Le saviez-vous ? L’île flottante n’est pas un œuf à la neige- L’île flottante version XIXe siècle