フランスの年末に欠かせない食材、
「牡蠣」。
フランスでは、牡蠣は「生食」が一般的です。
でも気になるのは、やっぱり食あたり。
とある夕食会で、美味しそうな生牡蠣を前に、怖くて手を出せない私を見た友人が、
「ワインを飲みながら食べたら大丈夫よ」と言うのです。
ホンマかいな… と内心訝しんだものの、ワイン&海鮮好きな私は、これを良い風に信じてチャレンジしないワケはありません。
こうして私は無事にフランスで生牡蠣デビューをはたし、私の大好物になりました。
…と偉そうに言ってても、
日本の牡蠣は、フランスの牡蠣に比べてずいぶん肉厚なこともあり、怖くて未だ生食したことはありません。。。
なので、味の比較ができないのが申し訳ないのですが、今日は【フランスの牡蠣】について、少しお話したいと思います。
フランス人は生牡蠣がお好き。
Rがつく月の週末になると、近所の青空マルシェの魚屋には、生牡蠣の立食コーナーが設けられます。
このコーナーは、朝から白ワインを片手に生牡蠣を味わいつつ、ご近所さんと立ち話に花を咲かせる人たちで、いつも大盛況です。
フランスには2タイプの牡蠣があります。
真牡蠣のように窪んだタイプ « les huitres creuses » クルーズと、丸平たいタイプ « les huitres plates » プラットです。
平タイプは窪タイプに比べ、病気が出やすいため生産量が少なく、市場でもあまり見かけません。
よって、窪タイプの牡蠣が主流になります。
辛口の白ワイン、バターを塗ったライ麦パン、レモンがよく合う。
フランス人が牡蠣を食べるときは、好んで「生」を食べます。
仏産の牡蠣は身が薄いので、殻を開けたら内身は洗わずに、そのままツルンといただきます。
エシャロット酢やレモン汁で食べても美味しいです。
以前、クリームソース掛けのオーブン調理された牡蠣をよばれたことがありますが、う〜む複雑な心境でした。
前菜の一品として完成していて美味しいのですが、身の縮みを考慮して大きい牡蠣を使うため、このサイズだったら生食したらさぞかし美味しいだろうな〜と、つい思いながら食べてしまうのです。
フィンヌ・ド・クレールN°2とN°5
牡蠣は、サイズ毎で番号分けされます。
N°0 > N°5 の6サイズで、番号が大きくなるほど牡蠣は小さくなります。
大きいのは前菜として、小さいのはアペリティフとして活躍します。
そして、牡蠣の生産地や育て方の違いによって、ブランド名が付けられます。
良く目にするのに、フィンヌ «la fine »、スペシャル« la spéciale»、プース« la pousse » がありますが、これは fine < spéciale < pousse の順で、牡蠣の身が豊満になります。
クレール « claire » という名前もよく目にしますが、これは出荷前の一定期間をクレール (塩田のようなプール) で肥育させることだそうで、この行程を経た牡蠣は、より身入りが良くなるようです。
↑レーザー刻印されたロゴが目印、
ハイブランド「ジラルドー」”Gillardeau”
↑ジラルドーN°2
適度に肥えた身、歯切れの良い食感、こっくりとした香り、ミルキーな甘味、そして贅沢なお値段。
そうそう、生牡蠣に白ワインを忘れてはなりませんね。
代表的なのでは、ミュスカデ(Muscadet)、シャブリ(Chablis)、ソンセール(Sancerre)などの辛口白が、牡蠣の風味にうまく添います。なかには、シャンパンで合わせる人もいるそうです。
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生牡蠣が好きな方、フランスに来たら、フランスの生牡蠣も食べてみてください。今やほぼ年中食べられますが、Rの付く月の、特に12月〜2月の間は最高に美味しいです。
ちなみに市場で牡蠣を買うときは、ダース (douzaine) 買いが一般的になります。買ってきた牡蠣がケースでなく袋に適当に詰められている場合は、貝の中の水が抜けないように、殻の平な面を上にして容器に並べ5℃〜15℃の場所で保管します。
ワイン飲んでも牡蠣でお腹をこわす人はいるので、知人のアドバイスもいい加減ではありますが、でもこの言葉が、結果的に私を生牡蠣の美食の世界へと導いてくれたので、今ではとっても感謝しています。