【奇人たちの晩餐会】映画あらすじ感想/面白すぎるフランソワ・ピニョン

今日はフランス映画【奇人たちの晩餐会】のレビューです。

監督フランソワ・ヴェベールは、この登場人物「フランソワ・ピニョン」を使っていくつか作品をつくってます。これも、そのうちの一作。

フランス本国でも大ヒットしたこの映画は、翌年1999年にセザール賞で脚本・映画化賞、主演男優賞、助演男優賞を獲得しています。

適度なバカ可笑しさの、品の良いコメディ作品です。

作品情報

原題  "Le dîner de Con"

監督・脚本    フランシス・ヴェベール
出演      ジャック・ヴィルレ 
        ティエリー・レルミット    
                フランシス・ユステール 
                ダニエル・プレヴォスト                          
             
公開年     1998 年
上映時間       77 分
ジャンル      コメディ・スパイ

あらすじ

パリの出版社社長ピエールは毎週水曜日の夜にバカの夕食会なるものを友達たちと企画している。

毎回誰かが一人「バカ」を連れてきて、そのバカを笑い者にし (もちろんバカは会の趣旨を知らない)、会の最後にチャンピオンを選ぶという最低な企画。

今回その餌食になったのが、財務省に勤めるマッチ棒模型マニアのピニョン

夕食会の当日の昼にゴルフで腰を痛めたピエールは、ピニョンのおバカ度をみるために、彼を自宅に呼び出す。夫がまたもや悪趣味な会をやってると知った妻クリスティヌは、怒って家を出て行ってしまう。

ピエール宅に到着したピニョンは、電話でピエールが妻に別れを告げられている瞬間に出くわしてしまう。傷心と腰痛で嘆くピエールに同情してしまった心優しいピニョンは、彼の妻を引き戻すために力になることを決心。

感想

可笑しい作品です。演劇作品として舞台で上演されるだけあって、場面はずっとピエールの豪華なアパートの中ほとんど舞台移動がないにもかかわらず、観ていても閉塞感がありません。いい間隔でテンポよく笑いの要素がちりばめられているので、退屈もしません

キャスティングも完璧。丸顔でフサフサ髪、マッチ棒模型についてしゃべらせたら際限のない、おバカ役「フランソワ・ピニョン」を演じるジャック・ヴィルレ。気取った金持ち出版社長ピエールを演じる、長身で青い瞳のティエリー・エルミット。

このふたりのやりとりは、最高に面白いです。観客を笑わせるために、コケたり物が落ちてきたりと動きで表現するパターンもありますが、この作品はほぼ会話だけで笑わせます。もちろん、役者の微妙な表情や間の取り方も笑いを上乗せしてますが、とにかくテクストが練られてます。

ピエールの愛人はマルレーヌ・サスールという名前。サスールはフラ語で「彼の姉妹」と言う意味でもあって、もちろんここでピニョンは電話の相手はピエールの姉妹だと勘違いしてドジる。

ピエールの妻の元カレの名前「ジュスト・ルブロン」 を、juste が仏語で ”だけ”という意味なので、ファーストネームが無い人と思ってしまったり。こういった、言葉あそびを上手く笑いの要素に取り入れてあります。

 

ストーリーは、ピエールとピニョンが、別れを告げ出て行った妻クリスティヌを、知り合いに電話をかけて探すというもの。その単純な筋でよくここまで、笑いと人間性を色濃く描けたものだなと感激しました。

ピニョンは天然の鈍臭さでドジをふみ、こじらせた問題を解決するのにまたドジをふむ。ヘマばっかりだけど一途で純粋で心暖かい、そんなピニョンをジャック・ヴィルレは上手く演じ、本作でセザール主演男優賞をとっています。監督ヴェベールは脚本賞でした。

作品後半から出てくる、税務調査官リュシアン役をつとめたダニエル・プレヴォストも、助演男優賞をとります。いい味持った役者さんですが、本作はあまりにもピニョンのインパクトが強かったせいか、私にはピンときませんでした。でも、彼が上等なワインにお酢を混ぜたものを飲まされたり、妻の浮気を知るくだりなんかは面白かったですね。

 おまけ

このおバカさんらの夕食会、監督フランシス・ヴェベールは「実は本当にあったと聞いている」と言っています。なんと餌食は俳優クロード・ブラスールで、知らずにおバカ側に招待されていたそう。彼がパリ・ダカールレースをやっていた時分で、みんなブラスールにパリダカの話を振っては、取りとめなく嬉しそうにしゃべり続ける彼を見て笑っていたとか。最後はちゃんと、おバカ会だったとブラスールには明かされたそうですが、友だちってコワイですねえ。。。

それではまた次回♪

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