詩的にパリの情景を味わうロマンチックコメディ【アメリ】プーラン

 

大ヒットしましたね。この作品が振りまく、幻想的でノスタルジックな表情は絶品です。

細部まで手が込み、思いも着かないアイデアに満ちたストーリーや映像。着眼点の稀有さと緻密さには脱帽モノです。

主人公の女の子が周りの人たちの導線となり、その日常を描くドラマです。

よくみる構図ですが、気をつけないと作品として中途半端な出来になることがあるスタイル。(←モンテーニュ通りのカフェがその例)このスタイルで、ここまで完璧に隙なく仕上がっているのには驚きです。

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作品情報

《アメリ》

原題 《Le Fabuleux Destin d'Amélie Poulain》

監督 ジャン=ピエール・ジュネ
音楽 ヤン・ティルセン

出演 オドレイ・トトゥ
   マチュー・カソヴィッツ

公開年  2001年
上映時間 129分
ジャンル ロマンチックコメディ

あらすじ

アメリは小さい頃から、周りの子たちとは違っていた。厳格な母親は、ノートルダム寺院から飛び降りた観光客に当たって死ぬ。父親は医者で、アメリより自宅の庭にある小人の置物に愛情を注ぐ親。そんな環境で大きくなったアメリは、引っ込み思案でいつも独りぼっち。他人とのコミュニケーションが苦手な大人になっていた。

そして実家を離れたアメリは、パリのモンマルトルのカフェで働きながら一人暮らしを始める。好きなことは、空想 /クレーム・ブリュレのカラメル部分をスプーンで割ること /豆袋に手を突っ込むこと。

ある日、アメリはアパートの壁の中に隠されている箱を見つける。大昔、そこに住んでいた子供が隠した想い出の宝箱。アメリはその箱の持ち主を探し出し、返すことにする。

こうして、影から他人を喜ばせることに日常の幸せを感じるアメリ。戦争に出て帰ってこない夫を待ち続けるアパートの女管理人に、夫を装った偽の手紙を出す。カフェで働く同僚と気のある常連客をくっつける。実家の庭から盗み出した小人の置物に世界中を旅させ、その写真を父親に送って旅行気分を味わってもらう。いつもパトロンにいじめられてる八百屋で働く友達に替わって復讐をする。骨が弱くいつも独りぼっちの年老いた隣人に、頻繁に会いに行く。

そしてある日、アメリニノに出会う。彼はセックスショップとお化け屋敷で働き、捨てられてる他人の証明写真をコレクションしている男の子。アメリニノに恋し、身を隠しながら自分の想いを伝えるべく、色々と小細工をしかける。

感想

これでもかと言うくらい、細部までこだわったオシャレな作品。

ストーリの概要はアメリの恋愛成功と素朴なものですが、アメリ中心の小さいストーリーを寄せ集めて、1つの作品に上手くまとめています。

登場人物の設定も、皆ちょっとクセのあるヘンなキャラで面白いです。そのヘンさが、他人の証明写真集めであったり、マメ袋に手を突っ込むのであったり、自殺願望のある金魚であったり。普通では簡単に発想できないこと。よく思いついたなと感激。

俳優陣もみんな、各自のキャラをよく噛み砕いて表現できていて、役者と設定人物に違和感をまったく感じません。細かい動作や表情も完璧です。

会話も小洒落たセリフが多く、日常を描いた単純なストーリーがダラダラしないようによく練られています。

この作品で何より素敵だと感じたのは、赤と緑と黄色を基調とした画面の色使いです。アパートの壁から装飾品、服装まで、画面に映るモノがとてもカラフル。多彩なのにウルサくない。しっかりと統一がとれています。

 

現実のパリは、こんなノスタルジックで小洒落た生活だけが存在するわけではないけれど、皆が期待するパリ像を裏切ることなく、詩的でファンタスティック、そしてコミカルに表現できている作品です。

おまけ

アメリのオマケはどれも有名になっちゃってますが、いくつか紹介。

オドレイがサン・マルタン運河で小石で水切りをする場面。本当は彼女、水切りの仕方を知らなかったらしく、画像はCGできれいに処理されました。

それから、彼女がクレーム・ブリュレのカラメル部分をスプーンで割る場面。このシーンを撮影するのに、何十個というクレーム・ブリュレを消費!理想とする「割れ」を得るまで何度もやり直したのです。使ったクレーム・ブリュレはムダにしないよう、撮影スタッフがその都度食べていったそうです。