フランス映画【太陽が知っている】あらすじ感想/ドロンとバーキンの共演

夏のヴァカンス中、とある豪邸のプールサイドで繰り広げられる、男女4人の心の駆け引きを描いたドラマ。

恋人2人の甘い時間も、それを永遠にブチ壊す悲劇も、すべてそのプールサイドで展開されます。

この4人の間に少しずつ広がってゆく、緊張した空気を味わう作品。

Table des matière

作品情報

【太陽が知っている】
原題   《 La piscine 》
監督   ジャック・ドレー
出演     アラン・ドロン 
     ロミー・シュナイダー 
     モーリス・ロネ 
     ジェーン・バーキン 
音楽   ミッシェル・ルグラン
公開年  1969年
上映時間 120分
ジャンル ドラマ

あらすじ

作家ジョンポール(ドロン)マリアンヌ(シュナイダー)は、南仏のプール付きヴィラでバカンスを過ごしている。ある日、マリアンヌの元愛人で、ジョンポールの友人でもあるアリー(モーリス・ロネ)が、18歳の娘ペネロプ(バーキン)を連れて乗り込んでくる。アリーとペネロプは数日間ここに泊まることになった。

しばらくすると、マリアンヌとアリーはこれ見よがしに、ジョンポールの前で戯れるようになる。気に食わないジョンポールは、ペネロプに近づく。こうして4人の間に緊張した空気が流れはじめ、ついに悲劇が起こる。

感想

ドロンの演技は言うまでもなく、いつものドロン様なのですが、カッコいいからやっぱり見入ってしまいました。そしてドロンの実生活での元カノだったロミー・シュナイダーは、実に好演でした。撮影の5年前まで2人は付き合っていたそうで、ふったのはドロン。太陽の輝くプールサイドで演技する彼女は、すごくツヤツヤで綺麗でした。女の色気を出した役柄なんですが、それがちっともヤラシくない。彼女が持ってるのは、クールで知的な色っぽさです。

そして個人的に面白いと思ったのが、ジェーン・バーキン。彼女にとってこの作品は、イギリスから渡仏して初めての映画でした。撮影当時は23歳くらいなんですが、とても子供っぽいのです。いつも口が少し開いていて、表情からは感情があまり感じ取れません。強烈な英語なまりのフランス語を舌ったらずに喋ります。そのヌボ〜とした喋り方、まったく緊張感のない子供のような顔、カモシカみたいな動作が、ナチュラルと言われる所以でしょうか。この、ちょっと何か抜けてる?とも感じられる天然ぐあいが、不思議な色気を出していて、ついつい見入ってしまいました。彼女が振りまく独特の空気は、一度見ておいても面白いと思います。ただ、この手のクセの強い俳優さんは、どの役でも同じ印象の場合が多いです。もう彼女の演技を知ってるよ〜という人には少し辛いかもしれません。

そして、刑事役だったポール・クロシェ。彼はいっつも助演ですが、いい俳優です。見た目はそこら辺にいそうなオジサン。でもこの人が出てくると作品が急にひき締まります。主役向きではないけど「こいつを置けば絶対にハズさない!」という安定した俳優。こういう立ち位置を確立できる俳優は大物ですね。

さてさて、全体の出来はというと… ちょっとテンポが遅かったかという感じ。犯罪モノというよりは、人間ドラマとして仕上げたかったようなので、心の駆け引きを綿密に描いてました。

でも、4人の間にゆっくりと徐々に広がっていく、気まずく張り詰めた空気の表現は絶品で、観ている方にも緊張がヒシヒシと伝わってきます。ストーリーを味わうというよりも、漂う微妙な空気を感じて楽しむ作品と言えそうです。

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