今ではすっかり、
日本のパン食文化の中に溶け込んでいる「クロワッサン」
幼いころの記憶に、高齢の祖母がよく、朝のミルクコーヒーに「クロワッサン」を豪快に浸して食べていた、というものがあります。
なぜ覚えているかというと、小さい私にはショッキングな光景だったから。(笑)
いま思えば、超ハイカラな婆ちゃんでした。
このクロワッサン、フランスでは特別な朝を過ごすための、ちょっとした贅沢品です。
毎日に食べるようなパンではありません。
焼きたてが美味しいので、朝わざわざ買いに行かなきゃならない上に、高価。
クロワッサン1個で、バゲット1本買えます。
今日はそんな、フランスの朝食の贅沢品「クロワッサン」の歴史をのぞいてみたいと思います。
それではどうぞ、ごらんください♪
Table des matière
じつは何通りもある「クロワッサン」の歴史
クロワッサンは対トルコ勝利の印!
フランス発祥と思いきや、じつはオーストリアのウイーン生まれの「クロワッサン」。
舞台は1683年、ウイーンがオスマン軍に包囲されていた時。
その① ある夜更け。トルコ軍は、寝静まっている街に奇襲をかけようと準備をしていました。その時、もうすでに起きて仕事を始めていたパン職人が、異変を嗅ぎつけ通告。そのおかげで、オーストリア側はトルコ軍の包囲を打ち破り、撤退させることに成功します。その勝利を記録すべく、パン屋たちは、トルコの旗に描かれている三日月を象ったパン「小さな角」Hörnchen を作りました。
その② ある夜更け。トルコ軍は、寝静まっている街に奇襲をかけようと準備をしていました。その計画を察知したポーランド人のコルシツキーという若者が、オスマン軍の包囲網を抜けて、オーストリア側に危機を通報します。そのおかげで、ポーランド王の援助を得れたウィーンは、無事トルコ軍を打破できました。コルシツキーは褒美として、トルコ軍から没収した500袋のコーヒー豆をもらいます。彼は勝利の記念に、ウィーンにカフェを開き、パン屋には記念のパンを作るよう依頼しました。
こうして出来たクロワッサンの原形が、1770年にマリー・アントワネットがルイ16世のもとに嫁いで来たときに、ウイーンから持ち込まれたと言われています。
しかし…
トルコ打破記念の話はウソ⁈
なんと素晴らしい「クロワッサン」の歴史!と思いきや、オスマン軍やマリー・アントワネットの話は、どうもウソなよう。まあ、ちょっと上手く出来すぎてる話なので、分からなくもないですね。
まず、中央ヨーロッパには13世紀ごろから、Kipfel (Kifli キフリ) とよばれる、三日月形のパンがすでに存在していました。
そして、パリにクロワッサンが登場したのも、マリー・アントワネットの死後45年ほど経ったころ。1839年にオーストリアの実業家オーギュスト・ツァングが、パリのリシュリュー通りにウイーン流パン屋を初めて立ち上げ、三日月のキフリやウイーンのパン製法をパリに持ち込んだのが始まりです。ただし、この時のクロワッサンは発酵させたパットフイユテ (パイ風の生地) ではなく、ブリオッシュのような生地。今のサクサク生地のクロワッサンが出回るのは20世紀になってからです。
じゃあ、誰がクロワッサンに発酵パットフイユテを使ったのか?
それがナゾなのです、ここが一番知りたいところなのですが。。。
クロワッサンはバター?マーガリン?
フランスでクロワッサンといえば、動物性油脂「バター」の方。ですが1970年ごろに、植物性油脂「マーガリン」によるクロワッサンも作られます。
この2つの違いは、クロワッサンの形で見分けることができます。バタークロワッサン croissant au beurre は「ダイヤモンド形」、マーガリンクロワッサン croissant ordinaire は「三日月形」をしています。
ですがマーガリンの方は、今ではほとんど見かけなくなりました。
やっぱり美味しいバタークロワッサン!
食べる尻からパン屑をまき散らすパットフイユテが苦手な私は、当然クロワッサンよりも牛乳パン (パンオレ) 派。おまけに95%のパン屋が冷凍クロワッサンを仕入れて焼いて売ってると、どこかで読んだことが…。
だけどね、上手い人に作られたクロワッサンは、グウの音もでないくらい、やっぱり美味いのです。パットフイユテは食べにくいから嫌いなの〜とか言ってるのが、バカバカしくなるくらい。
フランスに来たら、ぜひぜひ出来立てのクロワッサンを、朝のパン屋で買って食べてみてね。おいしいパン屋の見分け方は難しいけど、食事の時間帯に店に行列が出来てるかどうかは、やっぱり判断の目安になります。ちなみにクロワッサンの発音は「クホワソン」にちかいです。
それではまた次回♪
Edélices. com- Dans quelle ville, le croissant a-t-il été inventé ?
Liège université- Histoire de la gastronomie- Les grands mythes de la gastronomie : l’histoire du croissant
Tartines- Croissant au beurre, ordinaire ou nature : merci August Zang