森の散歩はロングリードでトレーニング

犬のしつけをやり直す#7【問題犬と森を散歩する】

うちの問題犬ワンコ、ホワイトスイスシェパード♀5歳は、他犬に対するハラスメント気質矯正のため、フランスの田舎のトレーニング学校に通っています。

今日は教室で教わった「森で愛犬を自由に散歩させるポイント」をいくつか紹介します。

ここに紹介する内容は「成犬の再教育」を目的に教わったものです。仔犬へのしつけは、専門の情報を主に参考されることをおすすめします。

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愛犬を森で自由に散歩させる時のポイント

森の散歩はロングリードでトレーニング

①ロングリードでトレーニング。

フランスでは禁止や制限の標識がなければ基本的に、犬はノーリードで森や公園を散歩できます (一部の犬種や期間を除くなど、細かい規制はある)。 犬のメンタルヘルスのためには、身体的疲労+頭脳疲労が大切という認識が浸透しているので、森で犬をフリー散歩させて犬を疲れさせる(?)人は多いです。

しかし、よそ様に迷惑をかける恐れのある問題犬の場合は、そう簡単ではありません。そこで登場するのが長さ10-15m くらいのロングリード。ロングリードは手に持つのでなく、地面に垂らして犬に引かせます。主人は犬が引きずるリードの横を歩き、何かの折にはリードを足で踏んで犬を制止したり、犬を手元に回収したり、主人から離れすぎるのを防いだりして散歩の仕方を教えます。

とは言え、散歩は犬にとってのバカンスなので、あまりクチャクチャ言わず、ある程度好きにさせてやるのが賢明です。私も最初は心配でリードの端っこを持ってましたが、犬の動きに慣れた頃に地面に放しました。

☆ロングリードは地面の水分を吸うとずっしり重たくなります。犬のサイズを考慮してリードの形状や素材を選びます。長さは10-15mが適当。

☆ロングリードを足で踏み止めやすいように、リードに足掛かりの結び目をいくつか作っておくと便利。

②フリー散歩中も方向転換を組み込む。

ロングリードやノーリードの散歩は、いくら犬が自由に動いても良いとは言え、犬は常に自発的に主人に注意を払うべきです。ですがロングリードで散歩をしてると、何かあると直ぐにリードを踏んで犬へ信号を送れるため、犬が主人へ注意を払わなくなる傾向があります。(心配性の人だとリードを踏みまくるので尚更。) それを回避するためにも、普段のリード散歩と同様に、方向転換を積極的に組み込み、犬が主人の動きに常に注意を払うよう習慣づけます。

その他にも、オモチャで遊びながら前進するとか、主人は木に隠れて犬に探させるとか、こういった項目もたまに入れるとマンネリが防げます。フリー散歩中は、犬が主人の元に戻って来るたびに、とにかく褒めてやります。

③問題から逃げて散歩しない。

ワンコの問題を解決したいのならば、それから逃げようとしてはダメです。

これは一時、教育放棄しかけた私がしていた行動です。ワンコは他犬に意地悪するので、散歩は犬が少ない時間帯や場所をねらい、向こうに犬が見えたら道を変え、とにかく他の犬を避けまくってました。問題ワンコの扱いに戸惑い、路頭に迷ってる状態です。でもこれでは一向にワンコの問題は解決しないわけです。改善したいのなら、その状況でどう振る舞うべきかをワンコに教えていく必要があります。やり方も分からないし不安もあるので、プロに教えてもらうと心強いです。

④他の犬とすれ違う時は駆け足で。

問題犬を散歩させていて一番疲れるのが、犬や自転車などの興奮要素とすれ違うとき。教えてもらった方法は、相手とすれ違う前から後までの15m間を、駆け足でしのぐ方法です。ワンコに相手(興奮要素)の存在に執着しないことを教えるもので、相手にチョッカイ出さずにすれ違えたら、褒めてやります。

リードで繋がれた犬は、リード無しよりも、緊張警戒モードになるのが早いです。とくにリードがピンと張った状態だと尚更。そのため、散歩中に出会うリード付きの犬に対しては、構わずにそっとしといてあげるよう愛犬をコントロールします。リード同士の犬がすれ違う時も、基本的にお互い挨拶させる必要はなく、相手に構わずにすれ違うよう教えます。

ちなみに、こっちのワンコが警戒して緊張してるのに、わざわざ犬を接近させてくる飼い主には、近寄らないよう遠慮なくお願いしましょう。それは相手のためでもあります。私も最近は、リード散歩中のワンコに不用意に接近させてくるノーリード犬には「うちの犬は意地悪するので、お宅のワンちゃん呼び戻してもらえますか?」とお願いしてます。昔は相手に頼むなんて発想もなく、リードを引っ張るワンコと必死で格闘してたのですが、余裕のある相手方にさっさと犬を回収して道を開けてもらう方が、事は手っ取り早くスムーズに収まるのです。こうしてアクシデントを回避するのも飼い主の務めです。

⑤犬同士をノーリードで遊ばせる。

ノーリードで犬同士を遊ばせる場合、飼い主はしっかり自分の犬の行動を監視します。

学校の集団レッスンでも犬同士をノーリードで遊ばせる課程がありますが、トレーナーが飼い主を監視していないと、一部の主人たちは愛犬を好き勝手に放ったらかすので、犬の世界はあっという間に「カオス」になります。マウンティングしたり、首や足に噛み付いたり、歯を見せたり、吠えたり、嫌がる相手を執拗に追いかけ回したり。

もし愛犬がそういう事をしていたら、いくら犬同士で揉め事になっていなくても、制止して叱ります。そういう不快な行動を野放しにしてると、徐々に悪質化するからです。仔犬をそういう犬と遊ばせるのも避けます。私自身そうだったので大反省ですが、問題犬の飼い主は「これが犬同士の遊び」の意味を誤解してる場合があります。犬同士が遊ぶのは、無秩序、無制限に遊ぶことではないんですね。

せっかくなので遊ばせてる時は「呼び戻し」のトレーニングとしても活用しましょう。ただし、呼び戻しの聞かない犬の解放は、広い場所では要注意です。

⑥犬が「呼び戻し」を聞かなくても、叱らない。

呼んで犬が戻って来なくても、叱ってはだめです。叱ると、絶対に戻って来なくなります。

犬が呼び戻しを聞かない場合の基本は、「叱らない、探しに行かない」です。呼び戻しは必須トレーニング項目ですが、難しいですね。とくに、興奮要素を前にしてもスパッと主人の「呼び戻し」が聞ける犬ってのは、ありとあらゆるトレーニングの集大成だと思います。

 

問題犬の再教育は、とにかく早いうちに、とにかくやってみる。

トレーニング学校に来ている人たちは、大きく分けて3パターンあります。

1、仔犬の教育目的。

2、問題犬ではないけど教育レベルの維持や向上が目的。

3、犬の問題行動の矯正と再教育が目的。

この3番目、再教育が目的の犬たちは様々な問題を抱えています。ワンコのように他犬にハラスメントする犬、怖くて外を歩けない犬、吠えまくる犬、落ち着きのない犬、凶暴性がすぐ出る犬など。フランスは犬のしつけ意識が徹底しているとは言え、愛犬の問題行動に苦労する飼い主も少なくありません。

広い庭付きの家に住む知人は、2頭のボーダーコリーの問題行動に悩み、プロに相談すると、まずは毎日3時間は散歩や運動に連れ出すようアドバイスされたと言います。その話を聞いて3時間とは大袈裟だなと思ったものですが、運動不足が犬の問題行動を誘発する要因の一つであるのは、実はよく耳にする話。今でこそ私もワンコをしっかり散歩でエネルギー消費させていますが、昔は仕事の疲れを理由に散歩にも行かず、お菓子で甘やかして済ませる日が多かったのは事実です。

もちろん犬の問題行動の原因は運動不足だけではなく、他の色んな要素が絡み合ってきます。フランスでよく使われる表現に「この犬はコードを学習してない」というのがあります。いわゆる犬同士に存在する「規則」を学習せずに大きくなったという意味です。もちろんワンコもこれ。ペット犬は早くに親元から離れて独りになるので、仔犬が犬社会のコードを習得できるように、飼い主が上手く誘導してやらなければなりません。私はこの時点でまず大きなミスをしています。コードは犬同士が遊びの中で自然に学ぶものだと放ったらかし。それは遊ぶ相手がコードを正しく使えてる犬なら良いですが、ちゃんと習得してない犬と執拗に遊ばせても意味がないのですね。

 

こうしてトレーニングに真剣に取り組むほど、今までの自分の過ちに気づくわけです。その罪を償うかのごとく、せっせと訓練に励むこと4ヶ月。教室の人たちに「ワンコ変わってきたね」と言われるようになり、実際に散歩も以前より楽になったと感じられ、再教育を諦めなくてよかったと心から思うこの頃です。

ひとつ、学校に来ている問題犬たちを見ていて思うのが、再教育を始めるなら少しでも早い方がよいです。年齢ではなく、問題行動の症状レベルのことです。人や犬を噛んでしまうまで待たず、ワンコの行動にちょっとでも不安を感じた初期の段階で、さっさとプロと訓練を始めた方が、状態の改善も早く感じられ、飼い主もモチベーションを維持しやすいです。私はある日、ワンコが他犬に歯を見せて獰猛に吠えついたのを見て再教育を決意しましたが、嫌がる犬を執拗に追いかけ回してた段階、もしくは主人の制止を破るようになった時点で始めていたら、もっと軽快にトレーニングできたと思います。

こんなテンコ盛りの失敗と反省を糧に、ワンコがバラ色なワン生を送れるように、大好きな散歩を満喫できるように、これからもトレーニングを続けていきます。

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