名言で学ぶフラ語【サルトル】編

名言で学ぶフランス語【サルトル】編

みなさん、こんにちは。

今日はフランス語の名言集は実存主義者【ジャン=ポール・サルトル】からです。

 

この人の名言には、バサリと切りつけるような力強さが魅力のフレーズがたくさんあります。

と同時に、私には難しくて理解できない文も多いんですけどね… (T-T)

今日はそんなサルトルさんの言葉を、個人の好みと偏見でいくつかピックアップしています。

それではどうぞ、ごらんください♪

名言で学ぶフラ語【サルトル】編

« Etre libre, c’est savoir dire non. »

「自由であること、それはNOと言えることである。」

 savior + V「〜できる」

pouvoir は「その条件下において可能か不可能か」を言い、savoir は「そのやり方を心得ているかどうか」を言います。

 

« Ne pas choisir, c’est encore choisir. »

「選択しない、それも選択のうちだ。」

なんだか謎カケみたいだけど。サルトルさんの名言は表現のズバリ具合が気持ち良いです。

choisir「選ぶ」
encore「まだ・もっと」

 

« Ceux qu’on aime, on ne les juge pas. »

「愛する人たちを、評価したりはしない。」

 ceux「指示代名詞 celui の複数形」関係代名詞をあとに伴って「〜である人(々)」と不特定の人を表す。

 juger「評価する・判決/判定を下す」juger les autres で「他人のことをああだこうだと評価する」こと。

 

« L’homme est condamné à être libre. »

「人は自由であるという刑に処せられている。」

l’homme「人」
condamné à…「〜の刑を宣告された」[kõ.dɑ.ne]

 

« Je préfère le désespoir à l’incertitude. »

「曖昧よりも絶望のほうがいい。」

préfèrer A à B「BよりAを好む」
désespoir「♂絶望」
incertitude「♀不確実さ・不安定さ・曖昧さ」

 

« La violence est injuste d’où qu’elle vienne. »

「どこに原因があろうが、暴力は間違ってる。」

 où que + subj.「どこで〜だろうが」色々な疑問詞をつかって表現できる、接続法をつかった便利な型。

例)  quoi que je fasses「私が何をしようが」
qui que tu voies「君が誰と会おうが」

d’où になってるのは venir dede が前に上がってきてるから。

violence「♀暴力」
injuste「不当な・不公平な」
venir de-「〜に起因する・〜に原因がある」
où que + 接続法「どこで〜だろうが」

 

« Aucun homme ne mérite d’être consacré de son vivant. »

「いかなる人も存命中に世にたたえられるべきではない。」

サルトルがノーベル賞の受賞を拒否したときの言葉。

aucun… ne…「いかなる〜もない」
mériter de + inf.「〜に値する」
consacré 「神聖とささげられた・高名な」
du vivant de qn.「〜の存命中に」

 

« Chaque parole a une conséquence. Chaque silence aussi. »

「言葉はそれぞれひとつの結果をもたらす。沈黙も然り。」

chaque「それぞれの・どの〜も」
parole「♀言葉・発言」
conséquence「♀影響・結果」
silence「♂沈黙」
aussi「同じように」

 

« S’il veut vous demander conseil, c’est qu’il a déjà choisi la réponse. »

「もし彼があなたの助言を求めたがったら、それは彼がすでに答えを決めてるということ。」

conseil「♂助言」
demander conseil à qn「〜に相談する」
C’est que + 節「それは〜だ。」
choisir「選ぶ」
déjà「すでに」
réponse「♀答え」

 

« Celui qui n’a pas peur n’est pas normal ; ça n’a rien à voir avec le courage. »

「怖がらない人は普通ではない。勇気とは何の関係もないことだ。」

 Ça n’a rien à voir (avec…)「〜と何の関係もない」

– ne… rien だと「まったく関係ない」と言い切り風。

– Ça n’a pas grand-chose à voir avec… だと「〜とはあんまり関係ないね」と語意が少し緩くなります。

celui 指示代名詞ここでは「不特定の人」
avoir peur de…「〜が怖い」
normal「正常な・普通の」
courage「♂勇気」

 

« Ce qui est terrible, ce n’est pas de souffrir ni de mourir, mais de mourir en vain. »

「耐えがたいのは、苦しむことでも死ぬことでもなく、むだ死にすることだ。」

terrible「耐えがたい・ゾッとする」
ne… pas de A ni de B「AでもBでもない」
souffrir「苦しむ」
mourir「死ぬ」
en vain「むだに」

 

«Etre libre, ce n’est pas pouvoir faire ce que l’on veut, mais c’est vouloir ce que l’on peut.»

「自由であるとは、やりたいことができることでなく、できることをやろうと望むことである。」

著書 « Situations I » より。「できることをやろうと望む」という件が素敵です。

 先にも出てきた「否定文, mais…」の文型。「しかし」の意味に慣れていると文意の流れに違和感がありますが、とても便利な mais「〜ではなく」の用法です。

 

« Moi, je suis méchante : ça veut dire que j’ai besoin de la souffrance des autres pour exister. »

「 私はね意地悪なの。つまり自分が存在するために他人の苦しみが必要ということよ。」

戯曲 « Huit clos » から。

méchant(e)「いじわるな」
Ça veut dire que + 節「〜を意味する」
avoir besoin de「〜が必要だ」
souffrance「♀苦しみ」
les autres「他の人たち」
exister「存在する」

 

« La patrie, l’honneur, la liberté, il n’y a rien : l’univers tourne autour d’une paire de fesses, c’est tout… »

「祖国、名誉、自由、なんて何もない。世界は一組のお尻の周りを回る、それだけさ…」

しょせん世の中お尻が中心なのさ… サルトルさんにかかればちゃんとフィロゾフして聞こえるから不思議。

 お尻 fesse は単数で片尻、複数で両尻なので une paire de という表現を使っています。

patrie「♀祖国・母国」
honneur「名誉・栄誉」
liberté「♀自由」
ne…rien「なにも〜ない」
univers「♂宇宙・世界」
tourner「回る」
autour de「〜の周囲を」
une paire de「1組の」
fesse「♀お尻」

 

« Un peintre apprenti demandait à son maître “Quand dois-je considérer que mon tableau est fini ?“ Et le maître répondit : « Quand tu pourras le regarder avec surprise, en te disant : C’est moi qui fait ça.“ »

「見習い画家が師匠に聞く。 « いつ作品が完成したと考えてよいのですか? »  師匠は答えた。 « “これ僕が書いたんだ“ と驚いて作品を眺められるときだよ。」

 en te disant 「君(自分)に言いながら」

「EN + 現在分詞」で「〜しながら・〜するとき」といった同時性を表せます。(ジェロンディフ)

例)  N’oublie pas d’éteindre la lumière en sortant.
「出るとき電気消すのわすれないでね。」

peintre「♂画家」
apprenti(e)「弟子・見習い」
maître「師匠・先生
considérer「見なす・考察する」
tableau「♂画」
fini「終わった」
réponditrépondre の単純過去」
surprise「♀驚き」

 

おわりに

サルトルはたくさんの名言を残しています。ここに挙げたのはホンの一部。彼の思想に関して個人的には、大いに賛成できる面もあれば、そうでない面もあります。名言も、読んで元気が出るという類ではなく、痛いとこ突いてくるタイプ。私は彼のこのクールさと、どんより曇った感じが大好きです。けっこう文が重たいのでカジュアルさには欠けますが、マッタリじっくり人生を哲学したいときには持って来いの、興味深い名文が多い人だと思いました。

それではまた次回♪

Le Figaro.fr Citations Jean-Paul Sartre

Ouest France – Citations

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