犬のしつけをやり直す#8【叱り方】

うちの5歳の大型犬ワンコの問題行動に悩み、再教育に一念発起し、しつけ学校に通い始め2年目になりました。

だいぶ私の頭の中も整理できてきたので、このへんで「叱る」について学んだことを記録しておこうと思います。

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ワンコを【叱る】とき

はじめに、しつけの流派について。

まず簡単に、しつけの流派について触れておきます。

ここフランスでは、家庭犬の躾にいくつかの流派があります。軍用犬の育成から派生した「がっちり締めてしつける系」と、近年流行りの「全く叱らずに、褒めてしつける超ポジティブ系」、そして中間系が存在します。いずれも体罰はなしです。

ワンコの通う学校は、「必要なときは叱り、ちゃんと褒め、きっちり締める」のクラシック流派です。この「締める」はキツく叱ることではなく、犬に望ましい行動をきっちり要求し、決してナアナアにしないことです。

たとえば散歩中、リードで繋がれた犬へは挨拶に行かせないとか、主人が立ち止まれば犬は「ツケで」お座りとか、門扉をくぐる時は主人が先とか、そういった些細な事をいつも徹底するようにします。

そして、このクラシック系の場合、犬が悪いことをした時はちゃんと「叱り」ます。

「叱る」ときのポイント4つ

そこで気になるのが「叱り方」です。トレーナーが私たちに口を酸っぱくして言うのは、以下の点です。

①「イライラして叱らない」

②「叱るときは現行犯で」

③「叱りは太く短く」

④「呼び戻して叱ったり、呼んで戻らない時に叱らない」

一つずつ見ていきます。

①「イライラして叱らない」

飼い主の心内を、犬は敏感に感じ取っています。イライラ任せに叱ったり、犬を叩いたり、首輪に強いショックを与えたりするのは論外です。「飼い主がイライラしている=怖い」の図式が出来上がってしまうと、いざと言う時に命令が入らなくなったり、パニックになったり、攻撃的になったり、いろんな問題がでてきます。

とくにトレーニング初心者は、なかなか言うことを聞かない愛犬にイライラすることも珍しくなく、その度にトレーナーは「イラつくだけ無駄だよ。主人がイライラすると犬もイライラするから絶対に上手くいかない」と言います。犬が主人に従順になるのは安心できる信頼関係のみで、恐怖心からの服従はいつか転覆させられるとか。

②「叱るときは現行犯で」

犬にダメを教えるのは、その行動をしてる最中、もしくは寸前でないと理解できません。犯行完了の5分後に叱咤しても、お仕置きに10分間トイレに閉じ込めても、壊した物を見せながら叱っても、無意味です。

また、穴掘るとか、フンを食べるとか、排出物で匂い付けするとか、犬の自然本能からくる行為に関しては、叱ってもどうしようもないので、飼い主が賢く先手を打つしかありません。ただし、鳥などの小動物を追って走り出す「狩」の反応に関しては、ちゃんとダメだと教え、制御するようトレーニングします。

③「叱るときは太く短く。」

犬に説教しても無駄なので、「ノー!」とか「エッエッ‼︎」など、太く短い声で一喝します。「叱る」はこれで十分。経験上、女性の場合は、自分でも気持ち悪いと思うくらい、低く太い声を出す方が良いです。

ちなみに、空き缶で作るガチャガチャとか、超音波を出す器具とか、プシーッと音のするスプレーなど、NOを教えるためのグッズが色々あります。私も試しましたが、こういったグッズは、犬を「ドキッと驚かす」ように使わないと意味がないため、意外と上手く使うのが難しいです。犬の性格や使うタイミングを鑑みると、結局のところ、主人のドス声が一番効率が良いです。

作ったけど、ほとんど使わないガチャガチャ。声の方が便利。

あとは、日々の服従トレーニングも、ワンコが主人のNOを的確に理解する、大きな手助けになってると感じます。つまり総合的トレーニングなしに、NOだけ教えようとしても、時間がかかるということです。

④「呼び戻して叱ったり、呼んで戻らない時に叱らない」

呼ばれて戻ると怖いことがある…と学習するのを避けるためです。呼んだ時は、いつも・必ず・速攻で犬は主人の元へ飛んで来るのが理想なので、叱るために呼び戻したり、すぐ戻って来ないからと叱らないことが大切です。意外と反射でやってしまいがちな行為なので、気を付けるようにします。

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おまけ|叱ってばかりせず、いろんな角度から問題にアプローチしてみる。

トレーニングに励むほどに、案外と「叱る」機会は少ないと感じるのですが、吠えや飛びつきなど、よその犬や人に対して乱暴な態度を見せた時には、根気良く毎回叱っています。

しかし、5歳のワンコが長年かけて培ったこの悪習慣を、今更ダメだと叱っても、そうそう簡単に止めさせることはできません。そういう場合は、アプローチを変えてみます。

例えば、ワンコがどういう条件下で悪い反応をするのかが分かっていると、事前に「待て」など命令を出してその条件を崩し、悪い行動の回避をねらってみるのです。上手く行く時もあればそうでない時もありますが、あれこれ手を変え品を変え、成功回数をコツコツ積み重ねて褒めてやるのも、毎回定型で叱ってばかりいるより生産的です。

トレーニング量の割に思うような成果が出なかった初期の頃、今まで服従訓練を徹底することなく奔放に育ったワンコに、今更ながら引き締めた生活を強いるのは間違ってるのではないか、と自問したこともありました。

それが訓練も2年目となった今では、ワンコは以前とは違って、屋外でも明らかに落ち着いてるし、家の者に対しても注意深くなっています。週3回の学校の集団レッスンも、家でのトレーニング生活も、遊びだと思っているのか、とても楽しそうにこなします。

イライラしてるっぽい素行が減り、ドスンとお座りしてられることが多くなったワンコを見ていると、あの時にトレーニングを諦めなくてよかったと思うと同時に、犬にも適度な規律と社会生活が大切なのだと、しみじみ感じています。

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