外国人には、やたらと知名度の高い、
フランスの村【コンク】。
フランス人は自国の観光地と呼ばれる名所が苦手なのか、意外とこの村のことを知らない人が多い印象です。
私はむかし「芸術新潮」のフランスのロマネスク特集 (2002.8) で、このコンクの村を知りました。
その時からずっと、いつか訪れたいと思っていて、やっとその機会にめぐまれました。
今日はその【コンク】村の紹介です。
フランスの美しい村コンク。
緑に囲まれた山間の村コンク “Conques”。
パリから長いこと車を走らせて、やっとたどり着いた小さな村は、その甲斐があったと心から思う美しさでした。どんなに観光客が多くてもどうでもいいわと思えるほど、魅力がいっぱい詰まっています。
村は中世の面影を強く残しており、山の傾斜地に器用に立ち並ぶ家々は、壁はコロンバージュ (外壁の木組が表面に現れている作り)で、屋根はローズ (敷石) 屋根と統一されています。
巡礼のシンボルのホタテ印
コンクはサンチアゴ・デ・コンポステーラへの巡礼地のひとつなので、村のそこらに巡礼サンボルの「帆立貝」マークが見られます。
そして必見すべきは、村にあるロマネスク様式の「サント・フォア修道院教会」。アバシアル (abbatiale) とよばれる修道院用の教会です。
教会の歴史は11世紀にまで遡りますが、宗教戦争やフランス革命を経て、一時期は無惨な姿になっていました。それが19世紀に再建されて今のきれいな姿になります。
「最後の審判」のタンパン
この教会のタンパンはとりわけ有名で、緻密な彫刻が施されたとても美しい作品です。テーマは「最後の審判」で、彫刻されている人物は124人だそう。この数に意味があるのか、単に数えただけなのかはちょっと分かりません。
イエスを中心に彼の右手側が天国に選ばれた人々、左手側が地獄の人々を表しています。イエスの下には、天秤で人々の魂を測る大天使ミカエルと、その天秤を自分の方に傾けようとしてる悪魔がいます。その最下部が、天国地獄への玄関口です。
天使キュリユー
そのタンパンの周りにはキュリユーcurieux (知りたがり) と呼ばれる、下で起こっている事を覗き見る天使たちがいます。こういう茶目っ気や人間臭さを感じる宗教作品は、見ていて楽しいと思う瞬間です。
そしてこの村の一番の目玉として、中世からずっと守り続けられている宝物があります。それは、聖フォワの聖遺物を収めている、宝石と金で飾られた豪華絢爛な「聖フォワ像」です。
私は、ちょっと苦手なタイプの展示物なので見学しなかったのですが、今思えば見ておけばよかったかと後悔。。。併設のミュゼには、時代の巡礼者や金細工師などが捧げていった、美しい手工芸品も一緒に展示されています。
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旅行の時間がゆっくり取れるなら、この村で宿泊しても良さそうです。
対面の山からホタテ形のコンク村の全景を眺めたり、近くを流れるドゥルドゥ川に架かる美しいローマの石橋を訪れたりと、村の魅力を堪能する散策コースもあります。
またいつか、再訪できるチャンスがあることを願うばかりです。