みなさん、こんにちは。
前回は「フランスの花束ルール」を紹介しましたが、今回は花の種類に限定して、大切な人に贈る花束として「避けたい花」のお話です。
花をブラックリストに振り分けるなんて可哀想な話ですが、どの土地でも人に贈るには不向きとされる花はあります。
日本だと病人への鉢植えはもちろん、匂いの強い百合も好まれません。菊もプレゼントには向かない花ですね。
フランスにもそういう花はあって、そうと知らずに、私も何度かヘマをやりました。
今ではできるだけ頭のスミに置いて、人に贈ることのないよう気をつけるようにしています。
ということで今日は、フランスで「贈り物には不向きとされる花」を紹介します。
Table des matière
フランス流「ブラックリストの花たち」
キク Le Chrysanthème
フランスでもキクの花は、お墓に供える花の代表です。友達への贈り物にはしません。
最近は品種改良でキクとダリアの区別のつかない花もありますが、ダリアは贈り物にできる花です。
キンセンカ (カレンデュラ/ポットマリーゴールド) Le Souci
キンセンカはフラ語で Souci といい「心配事」のこと。
昔から宗教的な場面に使われていて「悲しみ」と深い関係のある花だそうです。贈り物にしないのも分かりますね。
黄/白カーネーション L’Oeillet Jaune/Blanc
日本では母の日の代表選手カーネーションですが、フランスでは人に贈るのが意外と難しい花です。
黄色カーネーションは「軽蔑」の意味があるので贈り物にはNG。赤と白のカーネーションの意味は悪くないのですが、赤が「愛と情熱」の色であること、白のカーネーションが供花にもよく使われることから、結局のところは敬遠されがちです。
そしてカーネーションが避けられるもう一つの理由として、その昔、舞台役者がパトロンから契約解雇の通告として贈られた花が、値が張らないカーネーションだったと言われています。ちなみに契約続行の役者には高価なバラの花が贈られたそう。
寒い話の上に、カーネーションは安価というイメージがついてしまったようです。バラに比べ、ダントツ花持ちが良くて長く楽しめるのにね!
シクラメン Le Cyclamen
シクラメンは、クリスマス時期に綺麗な鉢植えが出回るので贈り物にしたくなる花ですが、「決別」の印でもあり、恋人へのプレゼントとしてはあまり好まれません。白シクラメンなんて雪みたく真っ白で、とても綺麗なんですけどね。
プリムラとカランコエと共にシクラメンは、すぐ枯らしてしまう私の苦手な植物のひとつです。そんなこんなでシクラメンは自分でも買わないし、貰いもしないから、案外うちでは縁のない花になっています。
スイセン Le Narcisse
スイセンのフラ語は「ナルシス」。そう、ギリシャ神話に出てくる、水面に映った自分に恋するあの美青年ナルキッソスです。つまり自己愛の象徴の花で、贈り物には向きません。
ですがスイセンは色んな品種がありとても可愛い花なので、私は庭にたんまり植えて楽しんでいます。同じ春の球根花ヒヤシンスは、問題なく贈り物にできます。
黄/黒バラ La Rose Jaune/Noire
バラの花は、贈る花束としてはトップクラスの豪華さ。色ごとの花言葉もステキな意味が多いバラですが、黄バラは「嫉妬」黒バラはご存知の通り「死」の印。贈るのは避けます。その理由もあってか、花屋でもあまり見かけない色です。
ペチュニア Le Pétunia
夏の花壇を彩る初心者にも育てやすいペチュニア。一年草の鉢物は花束よりお手頃価格で、かつボリューミーなため、フランスでは鉢物を手土産にすることも度々あります。
夏は色鮮やかなペチュニアがたくさん園芸店に出回りますが、この花は人への贈り物にはあまりしません。なぜならペチュニアを贈るというのは、相手に物申すサインで「怒り」の象徴だと言われ、気の強い花だからです。
黄/オレンジ色ユリ Le Lys jaune/orange
黄色ユリは「偽り」、オレンジ色のユリは「軽蔑」の象徴とされ、贈り物には不向きです。
白ユリは、日本で “歩く姿は百合の花” と言われるように、フランスでも「高貴」な象徴として人気です。ですが供花のイメージが出やすい花でもあるので、贈り物のブーケに使う際には、フルリストのセンスが問われるとも感じます。
そして、匂いの強すぎるユリも、贈り物には避ける傾向にあります。
ラナンキュラス La renoncule
こんなに可愛い花がブラックリストだなんてどうして?! という感じですが、ラナンキュラスは「君って子供っぽいね」を意味できるため、花束には避ける人がいます。
もちろん良い意味も持った花なんですが、たしかに一度も人から贈られたことはありません。
——
ある日、ブーケを買いに花屋へ行ったときのこと。作業台の上に、行き場を失ったかのように無造作に放っぽり出された、一輪の白のラナンキュラスがありました。
とても可愛かったので買うと店の人に言うと、花束から抜いた分だからあげると言います。ラナンキュラスは特別に強い意味があるわけでもなく、贈り物にもできる花なので意外だったのですが、「幼稚」という隠れた意味を気にする人がいると知った時でもあります。
今回紹介した花はフランスでは、与える印象が良くないから人に贈るには不向きとされますが、自分用なら買おうが植えようが、もちろん自由です。もっと言えば、人にあげるのだって、時と場合と相手によっては、まったく問題ないこともあります。
花を人に贈るのに色々と気にし出すと、とっても難しくなります。フランスでも花言葉を気にする人がいるのは確かなので、贈る側も気をつけた方がよいのは事実ですが、花の条件など全て覚えてられません。日本の贈花の常識に従っていれば、それでOKな場面が多々あります。
ですがもし、フランスで注意したい花をひとつだけ覚えておくとしたら「カーネーション」をあげておこうと思います。
それではまた次回♪
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