みなさん、こんにちは。
今日の話は【フランス人のお風呂事情と泡ぶろ】です。
むかしの外国映画でよく見かけた「泡ぶろ」。
湯船が部屋のど真ん中にあって、そこから出てきた泡だらけの美女がバスローブを身にまとい、そのままソファへ腰掛ける…
日本のお風呂しか知らない私には、「泡ぶろ」は不可解で魅力的な洋風文化の代表でした。
どうやって泡風呂って入るんだろう… 今日はその「泡ぶろ」のお話です。
Table des matière
ちょっとフランスのお風呂事情。
フランス人は「風呂」より「シャワー」です。シャワーがなかった頃は、洗面台やタライに湯水をはり、石鹸を泡だてたタオル手袋で、顔やお尻を拭ってキレイにしていたそう。今でもフランス人にとって、大量にお湯を使うお風呂は「贅沢品」という感覚です。
*戦後はまだ、一般の住宅に身体を洗う部屋「浴室」の設置は定着していませんでした。70年代に入ると美容や衛生を意識するブームが始まって、2000年頃にようやく98%の住宅に浴室が設置されます。
(*参照:Petite histoire de la salle de bain a travers les ages)
「湯船につかる」ことが習慣化されてない仏人は非常に多く、最近ではアパートの限られた浴室空間に湯船をむりやり置くよりも、モダンで広いシャワー室を設置する方を好む人もいます。
フランスではタオル手袋↑か泡だてポンポンで身体をこするのが定番。
背中がこすれないなんて、私にはまったく使い物になりません。
仏人にとってお風呂は、ちょっと特別な日のもの。身体がすごく冷えてる時とか、疲れがひどい時とか、カップルで雰囲気つくる時くらいしか入りません。
そして、その特別な日のお風呂は、やっぱり彼らにとっては「泡ぶろ」。泡がないなんて風呂入る意味ない!ぐらいの勢いで、泡を好みます。
【泡ぶろ】に入ってみよう!
フランスにもソルトやミルク系の入浴剤はありますが、泡を作る液体バスソープが定番です。
この「泡ぶろ」に何度か入浴して思ったのですが、気のせいか、泡があると湯が冷めるのが遅く感じます。これは追い炊き機能のない風呂が多いフランスでは、けっこう嬉しいポイント。
そしてこの泡が密で厚みがあるほど、湯から出てる上半身が寒さを感じにくいです。まさに泡という服を肌にまとっている感じです。
フランス人の泡風呂の入り方
➀ お湯を湯船に入れ出すと同時に、バスソープを船底に垂らし入れる。蛇口から落ちる湯の勢いでソープを泡立てるので、湯を張ってからソープを入れたのでは泡だたないので注意。専用のバスソープがなければボディソープでもできる。
➁ 泡風呂ができたらゆっくり浸かってリラックスし、タオル手袋で身体をひととおり擦る。
➂ キレイになったと思ったら、泡だらけのまま外に出て、バスローブをまとっておしまい。
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けっこういい加減な入浴です。ひとつのお湯で顔もお尻も洗い、上がる前にカラダの泡を流さない。日本人にしたら、湯船の中で身体をゴシゴシ洗うなんて、ありえません。。。
もちろん他の人とお湯の使い回しはしないので、自分の好きなように湯を汚して問題はないのですが、きっとこの泡の下にはいっぱいアカが浮いてんだろうな… とか考えてしまいます。
最近はバスタブのそばに、シャワーボックスが設置されている浴室もあり、その場合は入浴の前後に身体をすすぐことができます。
でもホテルで見るような、バスタブとシャワーがくっついてる旧式だと、そう簡単にはいきません。お風呂のお湯が抜けるのを待って、バスタブ内でシャワー浴びてから出るしかないのです。湯船の外で湯かけできる日本の風呂場構造を考えた人、ほんとエライと思います。
フランスでは使い勝手の悪い風呂場構造のせいで、家族間での湯の使い回しが難しく、ひとりで湯船のお湯を使い切る入浴スタイルになります。
日本みたいに家族みんなが毎日お風呂に入るなんて、フランスでは贅沢すぎて、まずできません。でもたまにお風呂に入るとなると、自分の好きなようにお湯を使えるので、それは気持ちが良いものでもあります。
キャンドルを灯し、音楽を流して、泡だらけのお風呂にゆっくり浸かる… みなさんも、たまに贅沢な泡ぶろ、やってみてはいかがですか?