フランス菓子「ババオロムとサヴァラン」の話。

シロップたっぷり【ババオロムとサヴァラン】フランス菓子の歴史

みなさん、こんにちは。

今日はフレンチスイーツ「ババオロム」と「サヴァラン」についてです。

 

私がこのケーキを最初に食べたのは「サヴァラン」の方。お店の人にキルシュ風味のケーキだと聞いて、酒好きの私は飛びつきました。

甘味が少し強かったですが、キルシュのよく利いたシロップに、ドップリ豪快に浸った冠型ケーキを一口食べたときの感動は、今でも忘れられません。

もちろんお店によってシロップのアルコール濃度は色々なのでしょうが、それでもお菓子につかうお酒と考えれば、十分に贅沢な濃さでした。

「ババオロム」は生ケーキとして販売されているのはもちろん、瓶詰めもあります。瓶の中にシャンパン栓型のババが数個、ラム酒シロップに浸かっています。これは日持ちするので、お土産として日本へ持って帰り、お酒が飲める甘党に配ったことがあります。

最近はケーキ屋で、この栓型ババオロムを見かけることは稀で、サヴァラン型 (冠型) のババオロムをよく見かけます。

どちらもブリオッシュ風ケーキがアルコールシロップに浸ったお菓子。いったい違いは何なのか?

ではでは、このお菓子の歴史をのぞいてみましょ♪

初めに「ババオロム」ありき…

現在パリ最古のパティスリーである「ストレー」の創始者ニコラ・ストレーが、18世紀中頃にババオロムの原型を作りました。

ニコラ・ストレーはポーランド王スタニスラス1世の元にいたパティシエで、のちに王の娘マリー・レグザンスカ (ルイ15世の妻) 付きのケーキ職人となります。

ある日ストレーは、王が旅先から持ってきた乾燥して固くなったクグロフを食べ易くするべく、マラガワインをかけて柔らかくし、カスタードクリームやレーズンで飾り付けをしたものを王に提供します。王はこのお菓子をとても気に入り、千夜一夜物語にちなみ「アリババ」と命名しました。

その後1835年、ニコラの後継者が彼のレシピに変更を加え、マラガワインではなく、ラム酒に浸したものを作ります。これが「ババオロム」の始まりです。

ちなみに「ババ」というのは、これよりも古くからあるポーランドの伝統菓子で、菌で発酵させた生地にレーズンやサフランで風味をつけて焼き上げた、ブリオッシュのような菓子をババと呼んでいたそうです。ちなみにこのババは、アリババとは何の関係もありません。

ババオロム vs サヴァラン!

フランス菓子「ババオロムとサヴァラン」の話。

そして19世紀中頃になると、ストレーが発案した「ババオロム」は巷で人気になっていきました。

そこでパリの兄弟ケーキ職人オーギュスト・ジュリアン(とアルチュール)が、名店ストレーが売るババオロムに対抗して作ったのが「サヴァラン」です。

ジュリアンはシロップのラム酒の代わりに、キルシュ・アプサント・ローズ水を使い、ババに入っていた乾燥レーズンは省き、形も冠形に変更し「サヴァラン」と名付けました。

「サヴァラン」という名前は当時、政治家・法律家・作家・音楽家・美食家として有名だったジョン・オンテルム・ブリヤ=サヴァラン (1755-1826) のことです。

ジュリアンとブリヤ・サヴァランとお菓子誕生の関係性は明確ではありませんが、ブリヤ・サヴァランがババオロムのシロップの研究をしていた記録もあるようなので、そんな彼に敬意を表して名付けたと言えそうですね。

 

おわりに

先にも述べたように、最近のババオロムはサヴァラン型だったりしますが、ケーキ屋やレストランの定番のお菓子なので、見かけたときはぜひ食べてみてください。ケーキの豪快なシロップの含み具合には、感動的なものがありますよ♪

参考参照
LE DEVOIR – Saveur – La fabuleuse histoire du baba au rhum
Mappiness – La belle histoire du Baba au rhum

Ça m’intéresse – La curiosité en continu – A qui doit-on le savarin ?
フランス菓子「ババオロムとサヴァラン」の話。
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