みなさん、こんにちは。今日はフランス語の代名動詞【複合過去の性数一致】に関するお話です。
フランス語を勉強していると「性数一致」は避けて通れません。これが代名動詞になると、もうホント勘弁してよです。動詞ごとの文型を、サクサク覚えていける脳ミソがあればこんなに苦労しないだろうになあ、といつも思うのですが…。
ということで【代名動詞の性数一致】をさっそくみてみましょ。
代名動詞【用法】と【性数一致のルール】まとめ
代名動詞の【用法】まとめ
まずは用法をさっと確認です。どういうグループがあって、どう機能してるかを把握しておくのは「性数一致」の理解には必要です。
* 代名動詞の「グループ分け」は人によって細部が異なることがありますが、主部分は皆一緒です。
代名動詞は大きく①②に分けることができ、②はさらに4つに分けられます。
①「« 代名動詞 » の型でしか存在しないもの」(本質的)
②「 « 代名動詞 / se がない動詞単体 » の2つの型で存在するもの」
1・再帰的
2・相互的
3・受動的
4・動詞単独と代名動詞の時で意味がちがうもの。
各用法について確認したい方は、前回の話し『代名動詞の活用と用法』を覗いてみてください。
代名動詞の複合過去【性数一致】まとめ
過去分詞に性数の一致がおきる場合。
* グループ①『 代名動詞でしか存在しないもの (本質的)』
→ いつも主語に一致
* グループ②の『3. 受動的用法』『4. 動詞単体と代名動詞で意味がちがうもの』
→ いつも主語に一致
* グループ②の『1. 再帰的・2. 相互的』用法で、直接目的語 COD が助動詞 être の前方に上がってきている場合。
→ COD に一致
上記のルールに当てはまる場合は、性数一致します。
もうすこし、詳しく見たい方はつづきをどうぞ。
代名動詞の複合過去【性数一致】をくわしくみてみる。
各用法ごとにどう一致するのかをみてみましょ。
①『 代名動詞でしか存在しないもの (本質的)』の場合
このグループの代名動詞は、いつも主語の性数に一致します。
Ils se sont moqués de moi.
彼らは僕をバカにした。
Elle s’est méfiée de moi.
彼女は僕を警戒した。
②「 « 代名動詞 / se がない動詞単体 » の2つの型で存在するもの」の場合
『3. 受動的』『4. 動詞単体と代名動詞で意味がちがうもの』の場合
このグループの代名動詞も、いつも主語の性数に一致します。
La maison s’est vendue facilement.
家は簡単に売れた。(受動的)
Elle s’est mise à pleurer.
彼女は泣き始めた。 (動詞単体と代名動詞で意味が違うもの)
Elle s’est servie de ma voiture.
彼女は僕の車を使った。 (動詞単体と代名動詞で意味が違うもの)
『1. 再帰的』『2. 相互的』の場合
複合過去の「性数一致の基本ルール」として、文の直接目的補語 COD が助動詞の前方に上がってきている場合は、過去分詞はその COD の性数に一致します。それが代名動詞にも適用されます。
COD を見分けるためには、代名動詞でなく、動詞単体の文型をヒントに判断します。その時、日本語訳「〜を/に」を基準に判断しても上手くいかないことが多いので、フランス語の文型で判断するよう頑張ることをおすすめします。
* 直接目的(補語) COD / 間接目的(補語) COI
Elles se sont téléphoné.
彼女らはお互い電話をした。
téléphoner à qn → se = l’une à l’autre お互いに COI → 一致しない
Elle s’est réveillée.
彼女は目が覚めた。
Elle a réveillé elle-même. (réveiller 目を覚めさす) → se =elle-même COD → 主語に一致 (主語の性数を反映している se=COD が助動詞 être の前にいるととれる)
Elle s’est lavée.
彼女はカラダ(自分自身)を洗った。
Elle a lavé elle-même. → se =elle-même COD → CODが助動詞の前 → 一致する
Elle s’est lavé les mains.
彼女は(彼女自身の)手を洗った。
Elle a lavé les mains → les mains COD → CODは助動詞の後 → 一致しない
Les mains qu’elle s’est lavées
彼女が洗った手
Elle a lavé les mains → les mains COD → CODが助動詞の前 → 一致する
Elle s’est servi du thé.
彼女は(自分に)紅茶を入れた。
Elle a servi du thé. → du thé COD → CODが助動詞の後 → 一致しない
おまけ。【代名動詞の後に形容詞や動詞原形】が続く場合
この項目も奥が深く、頭がパンクしやすいので、知っておくと便利な点をふれておきます。
代名動詞の後に【形容詞】が続く場合
過去分詞は、いつも主語の性数に一致します。
Elle s’est sentie abandonnée par ses amis.
彼女は友達から見放されたと感じた。
Elle s’est montrée capable.
彼女はできる様をみせた。
代名動詞の後に【動詞原形】が続く場合
文の主語が動詞原形の動作主か(能動)、または別の誰かが動作主か(受動)、によって性数一致が決まります。
主語が動詞原形の【動作主である】場合(能動)
→ 主語に一致する
Elle s’est laissée aller.
彼女は成るままに身を任した。
能動の意味がつかみにくいですが、Elle が aller の動作主。
主語が動詞原形の【動作主でない】場合(受動)
→ 一致しない
Ma fille ne s’est pas laissé soigner les caries.
娘は虫歯の治療を(嫌がって歯医者に)させなかった。
娘でなく別の人(医者)が soigner の動作主。
Elle s’est senti empoter par la marée.
彼女は潮に流されてるのを感じた。
彼女でなく潮が emporter の動作主。これは Elle s’est sentie emportée とも書けますね。
*つまり受動の意味がいつも根底にある se faire + inf. の複合過去『s’être fait + inf.』は、過去分詞 fait に性数一致は起きないことになります。
おわりに
代名動詞の性数一致は、その代名動詞の所属するグループを知ることが理解の近道になります。ですが同じ代名動詞でも、文によって用法グループが変わってくる場合もあるので注意が必要です。代名動詞の性数一致を完璧に使いこなすのはホント至難の技… つたない説明を最後まで根気よく読んでいただいて、余計あたまが混乱してないことを願います。少しでも理解の助けになっていれば幸いです。