みなさん、こんにちは。今日はフランス語の受動態についてです。
日本語は受け身の表現を多用するため、フランス語で言う時もついつい受け身の文を作成しがち。
でも能動態の文で簡素に表現できてしまう場合が多いのです。
「彼に〇〇を頼まれた」「彼に〇〇と言われた」という文も « Il m’a demandé » « Il m’a dit »を使います。
能動態文での「私」が間接目的語なので、受け身文の主語にはなれないためです。
それでは、ちょっと詳しくみてみましょ。
【受け身の文型 】能動態から受動態へ
能動態
Une moto a renversé un petit garçon.
受動態
Un petit garçon a été renversé par une moto.
能動態文の直接目的語(COD)は受動態文での主語となり、動詞は être+過去分詞になり、「〜によって」という動作主補語はpar で導きます。
基本の形 【Être + 過去分詞】
受け身がとれる動詞は、直接目的語をもつ動詞です。
その直接目的語(COD)が受動態文での主語となります。
間接目的語(COI)は受動態の主語にはなりません。
La police a arrêté un voleur. (COD)
警察が盗人を捕まえた。
→ Un voleur a été arrêté par la police.
盗人が警察に捕まった。
Mon professeur a téléphoné à ma mère. (COI)
先生は私の母に電話した。
→ ✖︎ Ma mère a été téléphonée par mon professeur.
(ma mère は間接目的語なので受動態の主語にはなれません)
La police m’a dit de ne pas bouger.
警察は「動くな!」と私に言った。
→ ✖︎ J’ai été dit de ne pas bouger par la police.
(me は間接目的語なので受動態の主語にはなれません)
On m’a volé mon sac.
( = Je me suis fait voler mon sac.)
僕はカバンを盗まれた。(この on は「不特定の人」)
→ ✔︎ Mon sac a été volé.
(on は par 動作主補語にはならないので注意)
→ ✖︎ J’ai été volé mon sac.
(Mon sac は直接目的語なので受動態の主語になれますが Me は間接目的語なので主語になれません )
Par によって導かれる動作主補語は、人称代名詞を好まない傾向にあります。
«Cette maison a été construite par moi.» よりも «J’ai construit cette maison.» の方が好まれます。
「〜によって」動作主補語が « par » でなく« de »の場合。
普通、受け身文は « par »「〜によって」で動作主補語が導かれるのですが、 « de » をとる動詞があります。
① 「何かに囲われてる・何かで満たされてる」など、状態を描写する表現のとき。
être+couvert/ rempli/ entouré/ accompagné/ fait/ décoré など、
物がどういう状態かを描写する表現のときに「de」がつかわれます。
Cette chambre était couverte de poussière.
この部屋はホコリで覆われていた。
Mon verre a été rempli de vin.
私のグラスはワインで満たされた。
②感情や気持ち、心の状態を描写する動詞のとき。
être+aimé/ adoré/ respecté/ déçu/ étonné/ détesté など
これも、つい par を使いたくなるのですが「de」をつかう表現です。
Je suis étonné de mon résultat.
自分の結果にびっくりだよ。
Il était aimé de tous.
彼はみんなに好かれていたよ。
つぎは、受け身的意味をもつ文ではあるけれど、文型がいわゆる受動態文とはまったく違うものの例です。
受け身の意味をもつ、その他の用法
① 代名動詞
ちょっと受け身のニュアンスがつかみにくいかも知れませんが、「Ça が〜される」ととれる文例です。
Ça se mange?
これ食べられるの? (コレが食べられる)
Ce vin se boit frais.
このワインは冷やして飲めるよ。(ワインが冷やして飲まれる)
Ça se voit pas trop, cette tache.
そのシミ、そんなに目立たないよ。(シミが見られる)
② Se faire/ Se laisser + 動詞原形
これは faire の使役用法 (faire + inf =させる) の意味から派生して、「受け身」の意味がでてきているパターンです。
日本語が受け身文なので、つい受動態文で仏作したくなるのですが、実際は「se faire」で作成することが多々あります。
Elle s’est fait virer de chez Apple.
彼女はアップルをクビになった。
=Elle a été virée.
Il s’est fait condamner à cinq ans de prison.
彼は禁固5年を言い渡された。condamner[k̃o.dɑ.ne]
= Il a été condamné.
Je me suis laissé convaincre.
説き伏せられちゃったよ。
=J’ai été convaincu.
Ma femme s’est laissé draguer.
うちの嫁、ナンパされるがママだったんだよね。
=Elle a été draguée.
おわりに
Être + 過去分詞の受け身文の作り方自体は、そんなに複雑ではありません。難しいのはこの文型を使わずに受け身を表現する場合が多いということ。そのため、代名動詞や Faire をうまく使いこなしていく必要があります。
日本語は主語が省略される場合がありますが、フランス語はまず省略されません。なので能動態文だろうが受動態文だろうが、主語に重きが置かれます。主語がその文で重要なこと。これをちょっと頭にいれておくと、スムーズに文をつくる手助けになると思います。