映画【サムライ】ドロンもパリの街も、全てが冷たく美しい

アラン・ドロン主演、フィルムノワール代表作の一つ。

飽きずに何度でも観てしまう、アランファンには堪らない、暗くて美しい作品。

ノワール映画【サムライ】

【サムライ】作品情報

原題  « Le Samouraï »
監督脚本 ジャン=ピエール・メルヴィル
出演者  アラン・ドロン
     フランソワ・ペリエ
     ナタリー・ドロン
ジャンル ノワール
上映時間 105分
公開年  1967年

あらすじ

一匹狼な殺し屋ジェフは、ナイトクラブのオーナーを抹殺する仕事を請け負う。完璧なアリバイとともに任務を遂行するも、運悪くクラブの専属ピアニスト、ヴァレリーに目撃されてしまう。にもかかわらずヴァレリーは、警察の尋問でジェフに見覚えがないふりをする。なぜ彼女はジェフを庇うのか…

感想

ずっと思ってたけど、この映画を観て確信したのは、アランドロンはあんまり喋らない方がいい。

もちろん「太陽がいっぱい」のカジュアルなドロンも、自然体で素敵だけど、どうも見た目と声のギャップがある気がする。

彼は「サムライ」みたく、静かである方が、無敵な美しさになる。

普通だと服に着られて滑稽になってしまう、エポレット付きのトレンチコートとボルサリーノのファッションだって、あの凍った青灰色の瞳にかかれば、ぐうの音も出ません。

そしてドロンに負けず素敵だったのが、ピアニストを演じたカティ・ロジエ。美しい彼女の疲れ果てたような三白眼は、作品のノワール感を倍増していました。

西洋の文化人が使う「サムライ」という言葉の響きが、妙に野暮ったいという先入観だけで、ずっと観るのを敬遠してた作品だけど、もう何度見直したことか。

映像もストーリーも音楽も、俳優も街並みも、全てが冷たくてジメッとしてるけど、美しい。

そう、実際にパリってこんな感じです。

案外、曇りや霧雨の肌寒い日が多くて、陽気や活気よりも憂鬱やアンニュイの方が似合う街。誰が花の都だなんて言ったんだか… (笑)

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