映画【山猫】ヴィスコンティからイタリア貴族文化へのオマージュ

ずっと観たかったアラン・ドロン出演【山猫】。

作品はヴィスコンティ監督なのでイタリア製ですが、愛すべきドロンが出ているので特別に。

かなり長かったけど、俳優陣がすばらしく魅力的で、息切れせずに最後まで鑑賞できました。

【山猫】作品情報

原題 « Il Gattopardo »  Le Guépard (仏)
監督 ルキノ・ヴィスコンティ
出演 バート・ランカスター、アラン・ドロン、
   クラウディア・カルディナーレ
公開年 1963年
上映時間 185分
ジャンル ドラマ

あらすじ

舞台は19世紀半ば、イタリア統一戦争のシチリア。13世紀から続く名家サリーナ侯爵ファブリツィオは、貴族としての歴史と伝統を守りながら家族と暮らしている。その彼が目にかける甥タンクレディは、革命軍赤シャツ隊に参加する反骨の現代っ子。彼は新興ブルジョワ市長の娘アンジェリカに恋をし…

感想

貴族の凋落と、新興文化の台頭。年長者から若者へ。古い慣習から現代の流行へ。

その変化は時代の自然な流れであり、古き伝統者たちも黙って受け入れるしかない様を、郷愁深く描きます。

バート・ランカスター演じる、時代遅れとなりつつある貴族。彼の佇まいからは、終焉間近の貴族の心の葛藤が、みごとに表現されます。

ドロンも、人生を謳歌する今時の青年らしさが自然で、とても可愛いらしい。

新興ブルジョワ娘を演じるのは、クラウディア・カルディナーレ。美しさの中に垣間見える、一つまみの品のなさが、それがまた堪らなく素敵でした。平民出身の恐れを知らない現代女子のパワフルさが、見ていて心地よかったです。

監督のヴィスコンティ自身が貴族家系なので、その演出は実にリアル。そういう意味では、彼に打って付けの主題だったと言えそうです。

今回が初鑑賞だったのですが、俳優陣のおかげで最後まで見切れたというのが実は本音です。

何度か鑑賞しないと、名作と言われる良さを味わい切れない作品だと感じました。

人生に時の流れと郷愁を感じる年齢、もしくはそのセンスが要りそう。焦らずのんびりと、ストーリーに黄昏ていられる心の余裕が欲しいところです。

また10年後くらいに観てみたいな…