フランス映画【コーラス】心癒される子供たちの歌声/あらすじ感想

 

フランス公開10週間で観客860万人を記録した大ヒット作品。

舞台は1949年『池の底』と呼ばれる山の中にある寄宿学校。そこへ舎監としてやって来た元音楽教師が、子供たちにコーラスを教え始め…

一見、つまんなさそうなテーマ。ところがどっこい、観入ってしまいます。面白かったり感動的だったり。当時を復元した舞台セットも美しいです。

子供たちの歌声に耳をスマせながら、あっという間の95分。目からだけでなく、耳からも楽しめる作品。

《コーラス》

原題   ⟪Les choristes⟫
監督   クリストフ・バラティエ
出演     ジェラール・ジュニョ 
     フランソワ・ベルレアン 
     カド・メラッド 
     ジャン-バチスト・モニエ 

公開年  2004年
上映時間 96分
ジャンル ドラマ・コメディ
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あらすじ(結末バレ)

 

今や世界的オーケストラ指揮者ピエール・モランジュ(モニエ)。彼は母親の葬儀の為にフランスに戻ってきた。そこへ幼少時代の旧友ペピノが訪ねてくる。ペピノは、彼らの寄宿学校時代の舎監クレモン・マチュー(ジュニョ)の日記を持参。その日記をピエールに読ませる。

…時を遡ること50年

1949年。元音楽教師クレモン・マチューは、孤児や問題児をあつめた寄宿学校に、舎監としてやって来る。校長ラシャン(ベルレアン)の方針は厳しく、悪さする子供たちに容赦無い罰を与える。校内はいつも罵声でピリピリしている。

そのうち、マチューは子供達に歌を教え始める。校内の雰囲気も変わりだす。そして彼は、児童ピエール・モランジュの音楽才能が突出していることに気付く。マチューはピエールの母親に、音楽学校で専門教育を受けさせることを勧める。と同時に、その母親に恋心を抱くが叶わず…

ある日、新入生モンダンがやって来る。児童更生施設から来た彼は体も大きく凶暴。マチューにも馴染まず、学校のお金を盗んだ犯人として、更生施設に戻される。しかし後に、犯人は別の生徒だったことが判明。モンダンは仕返しをする。マチューが子供たちを連れて森へ散歩に出ている間に、学校に火事をおこすのだった。

しかし、勝手に子供たちを学外に連れ出したマチューはクビになる。彼が学校を去る日。窓から沢山の、児童からのメッセージ紙飛行機が飛ばされる。街へ行くバスが来た時、最年少のペピノが追いかけて来る。自分も連れて行ってくれと頼む孤児のピペノを小脇に抱えて、マチューはバスに乗り込む。

感想

心が温かくなる映画。

子供への罰を避けるために校長から児童をかばい、イタズラっ子たちをコーラスでまとめ上げてゆく。ストーリー自体はありがちなパターン。登場人物も、厳しく権力一本の校長、生徒をかばう先生、手に負えない悪ガキ。とこれまた型にはまったパターン。

 

これだけでは、個性も新鮮味もなく面白くないのですが、この作品には味わい所が別にあります。まずは、子供たちのコーラス。特にピエール役(ジャン-バチスト・モニエ)のクリスタルのように透明な声色はずっと聴いていたくなるくらい心地よい。

もう一点は、マチューの存在によって学校内の大人や子供が、協調性と人間味を取り戻してゆく過程を感じる所にあります。以前は厳しかった体育教師が、子供達に湯を沸かして温かいシャワーを浴びさせてあげる為に、校長の隠し持ってる薪を勝手に使ったり。

 

こういったベタな心温まる小ネタが差し込まれますが、シラけるような表現にはされていません。サラッと味気ないくらいに描かれて、ちょうどいい塩梅です。

 

そして最後の場面。学校をクビになったマチューが宿舎を立ち去りバスにのる時。彼の後を追って来た孤児のペピノ。両親が迎えに来てくれると信じて、毎週土曜日に宿舎の門扉のところに立っている子です。そのペピノがマチューに懐いちゃってて、一緒に連れて行ってくれと頼みます。ここはなかなか良いシーンですね。このペピノ、ほんと、むっちゃくちゃ可愛いです。

 

これほど典型的なストーリーと典型的な登場人物像ばっかりなのに「ありきたりの感動モノ」にならなかったのは、マチューが熱血教師でなかったから。

マチューの、子供達に対する理解やコーラスを完成させてゆく様などを「熱血系」で表現してたら、もう完全に失敗してたと思います。作品として個性なさすぎて。

それがマチュー役ジェラール・ジュノの、力のぬけた素朴なオッサン具合いが、この作品が平凡で止まるのを回避。単に自分に正直で、純粋に音楽と子供が好きな様をうまく描き出しています。

大ヒットしたのが理解できる良い作品なのですが、観終わったあとに妙な後味が残りました…

オンチな子に譜面台役させたり、音楽教師を「音楽家くずれ」呼び。子供らのメッセージ紙飛行機を全部回収しなかったり…

私の中ではマチューの人物像を、なかなかうまく消化できなかったようです。自分のお気に入りを特待させる教育者というように感じてしまったのです。

オンチは絶対に歌うなとか、才能のある子はカワイくて大切だとか、他にも孤児がいるのに自分のお気に入りはピックアップしちゃったり。

オンチに美品壊されたくないとか、才能ある子には教えがいがあるとか、何人も孤児を引き取れないんだから一番慕う子をとか、分からなくもないんですけどちょっと寂しかったのが本音です。

おまけ

この映画が撮影された2003年夏、ヨーロッパは気温40度にもなる記録的な猛暑でした。そんな中での撮影。暑さで大変だったようです。

映画の冒頭シーンは、雪の降る1月にマチューが寄宿舎に到着する場面。

猛暑の中、ニセ物の雪をふりまき、青々と茂る木の葉っぱをこそげ落とし、強力な機械で靄を作り出す。俳優たちは涼をとるために、水で濡らしたTシャツの上にウールのセーターを着る。校長役のフランソワ・ベルレアンに至っては、校長室での撮影の際、ズボンはかずにパンツで演技してたそうです!

そして、寄宿舎の子供たち。

個性豊かで演技も自然、うまい子たちが揃ってます。この子たち、2000人の中から選ばれた普通の子供たちです。中でもピエール役・モンダン役・コーラスの譜面台役、の子達はこの作品をきっかけに俳優への道を歩んで行くことになります。

で、最年少ペピノ役のマクサンス・ペラン。彼は、作品冒頭でオーケストラ指揮者ピエール役をしていたジャック・ペランの実の子です。

 

参考・参照 Télé Star-Les Choristes, France 2