ノルマンディの冬旅【モン・サン・ミシェル】と伝説の【ピルー城砦】を訪ねる。

冬のフランスは、太陽を求めて南下する人が多いので、あえて北方面を選んだのですが、

同じようなことを考える人はいて、冬の英仏海峡とは言え、モン・サン・ミシェルは観光客が多かったです。

今回は、この2023年の年の瀬に訪れた、ノルマンディ地方の小旅を紹介します。

一度は訪ねたい【モン・サン・ミシェル】

冬のモンサンミッシェル

パリから車で西へ4時間ほど。

モン・サン・ミシェル ( Le Mont-Saint-Michel ) は、イギリス海峡に面したモンサンミッシェル湾にある島です。

干潮時には陸続きになりますが、大潮の満潮には海に囲まれてしまう、なかなか神秘的な島。(実際には遊歩道でいつでも島に渡れます。)

大昔は「お墓の山」と呼ばれ岩場だったこの島が、カトリック聖地としての歴史を歩み始めたのは708年。

大天使ミカエルがオベール司教の夢に現れ、この地に自分の名を冠した聖域を作るよう告げたのです。

その際、大天使ミカエルはオベール司教の頭に指で触れて啓示したため、司教の頭には穴が空いてしまったとか。その彼の穴あき頭蓋骨は、モンサンミッシェルの隣街アヴロンシュ (Avranches) のサンジェルヴェ大聖堂に納められています。

そして時は経ち、966年にノルマンディ公リシャール1世が、ベネディクト修道会のために聖堂を建て、そのあとに修道院、そして13世紀にはゴシック様式の付属建物が増築され、ほぼ今の姿が完成します。

こうしてずっと長い間、修道院として使われてきた島ですが、フランス革命時から100年ほどは牢獄としても使用されました。

↑山というだけあって島内は坂道と階段だらけ。疲れますが、迷路のように仕込まれた修道院とテラスからの展望は、一見の価値あり。

↑冬の寒い空気に一層映えるモンサンミシェル。塔の先端にある金色に輝く大天使聖ミカエル像は、ちっさく見えるけど身長3,5m、体重820kgもあります。

↑参道沿いにある有名レストラン、ラメールプラールのオムレツ。名物ですが、ふわトロ好きの舌の肥えた現代人には、、、おまけにトリュフオムレツしかなくて、びっくりな値段でした。まあ話のネタにはなるかな。

モンサンミッシェルの羊

↑モンサンミッシェルからの道路を塞ぐ羊の群。かわいい。黒い顔と手足が特徴の、海岸の牧草を食べて育つプレサレという品種。地元のレストランで食べられます。

昔はモンサンミッシェルの麓まで車やバスで乗り入れできましたが、今は島から2kmほど手前の駐車場に車を停め、そこから遊歩道を歩いて渡るか、無料のシャトルバスでアクセスするようになっています。

ノルマンディの伝説の舞台【ピルー城砦】

ノルマンディ地方ピルーの城砦

モンサンミッシェルから北へ、車で1時間ちょっと。ピルー (Pirou) はノルマンディ地方、コトンタン半島の西海岸沿いの小さな町です。

11世紀からあるこの城砦は、ノルマンディ地方では有名な伝説の舞台になった場所でもあります。

その伝説とは、、、

その昔、ノルマン人 (ヴァイキング) がこの城を攻めたとき、彼らは難攻不落と考え、兵糧攻めの作戦をとりました。数日後、静まり返った城の中に入ってみると、そこには老人が独りだけ残っており、ピルーの城主やその家族たちは皆、グリモワールの魔術書を使って雁に姿を変え、城から飛んで脱出してしまったと言うのです。それを聞いたノルマン人たちは、そのグリモワールの書を焼き捨ててしまいました。なぜなら、一度動物に姿を変えた者が再度人間の姿に戻るためには、その魔術書を逆さ読みする必要があると知っていたからです。こうして今でも、毎年3月になると雁の群がこのお城にやって来て、夏を過ごしていくのは、その魔術書を探しに来ているからと言われています。

ノルマンディ地方ピルー城砦

そんな、ちょっと悲しい伝説の舞台になったピルー城。今では城砦の凛々しい姿ですが、11世紀に建てられた時は木造で、海から上ってくるヴァイキングを堰き止める為の砦でした。

それが、12世紀初頭には石造りに改築。堀も3重になり、跳ね橋も設置され、城砦として完成します。その後は数々の貴族の手に渡り、16世紀と17世紀には、館としての居住性も求めて大きく増改築されました。

ノルマンディ地方ピルー城砦の中庭

↑城砦の中庭に面して建てられている居住館。台所や食堂、鍛冶場、守衛室、屋上の通路まで、しっかり内部を見学できます。

ノルマンディ地方ピルー城砦のシャペル

↑17世紀のシャペル、サン=ローラン。港町の教会には必ず船の模型が釣ってあり、天井は船底をまねています。ルイ15世時代の祭壇や、14世紀の木製の聖ヨハネ像、16世紀後半の最後の晩餐の油絵など、時代の芸術品が多く残されています。

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実はモンサンミシェルは今回で2回目。冬に訪ねても遜色はないフランスを代表する超名所ですが、1度訪問したら十分です。その点、コトンタン半島は、コレと言った大きな目玉はないのですが、バイキングなど面白い文化がチラホラ残っていて、夏に車でのんびり再訪したい場所だなと感じました。日本もそうだけど、半島文化ってちょっと独特で面白かったりするんですね。それではまた♪

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