仏映画【真実】はまり役のブリジット・バルドーを堪能する作品。

みなさん、こんにちは。

今日はフランス映画で、1961年にオスカー外国語映画賞をとった作品【真実】の紹介です。

監督は映画『恐怖の報酬』で有名なクルーゾ。

美しいバルドーを中心に、演技派役者たちをバックに従えて、体を売って生活する女性に対する世間の目や、出来の良い妹とそうでない姉の確執、男女の恋愛関係を巧妙に描いた作品です。

作品情報

【真実】

原題 « La Vérité »
監督・脚本 アンリ=ジョルジュ・クルーゾ

出演 ブリジット・バルドー
   サミ・フレー
   シャルル・ヴァネル
   ポール・ムリス

ジャンル ドラマ
上映時間 124分・白黒
公開年 1960年

あらすじ

法廷では、ドミニク・マルソー (ブリジット・バルドー)の重罪裁判が開かれている。彼女は恋人ジベール殺害の罪にとわれている。

時はさかのぼり

ドミニクは、パリの音楽院でバイオリンを勉強する妹アニーのアパートに転がりこみ、怠惰な生活をしていた。

ある日、アニーと同じ学校の指揮科に通うジベールが、アニーを訪ねてアパートへやってくる。ジベールはそこにいた姉ドミニクに強く惹かれる。だがドミニクは、彼となかなか先に進もうとはしなかった。

やっと一緒になった2人だったが、ジベールはドミニクを強く愛するあまり、彼女を束縛する。挙句のはてには、自由奔放で男好きな彼女に浮気されたと思い、彼女を捨てる。腹たったドミニクは自分の働く酒場のオーナーと寝る。

父親の葬儀で実家に帰ったドミニクは、妹アニーがジベールと婚約したことを知る。とたんに後悔に襲われ、深夜にジベールのアパートを訪ねる。2人は一緒に朝を迎えるが、彼はもう全くドミニクのことを愛してないことを告げ去ってゆく。

彼女はピストルを用意し、彼の前で自殺すべく、ジベールのアパートを再度たずねる。ジベールはそんなドミニクを軽蔑し侮辱する。耐えられなくなったドミニクはジベールに向けて数発うつ。自分が自殺する弾がもう無いと分かった彼女は、ガス自殺を図ろうとするが、銃声を聞きつけた隣人によって助けられる。

感想

バルドーがヒロインを演ずるということで、例のバルドー節とセクシー美を披露しただけで終わるヘボ作品だったらどうしよう、とビビっていたのですが… 予想以上に当たり作品でした。

本音としては、主役バルドーとジベール役サミ・フレーには、ちょっと限界を感じる部分もあったのですが、その他の役者たちがほんと素晴らしかった!被告弁護人役のシャルル・ヴァネルと、遺族弁護人役のポール・ムリス、そして妹アニー役のマリー=ジョゼ・ナット。説得力ある演技をするこの3人が、ガッツリと作品を支えています。

映画のメインは、ドミニクの法廷での裁判。その裁判の流れに従って、ドミニクの犯罪にいたるまでの生活がフラッシュバックで挿入されていきます。法廷の場面はけっこう面白くて、弁護人の陳述、娼婦ドミニクの発言にいちいち反応する傍聴人たちなど、時代背景やその価値観を垣間見ることができます。

登場人物の設定もよかったですね。言い寄る男たちを誘惑する以外、自分の人生をどうしたいのかも分からない姉ドミニク。それに対し、両親から期待されてパリでバイオリンを学ぶ、出来の良い妹アニー。そして、自分のキャリアが一番大切で、美人を手中に収め束縛することで満足してる若者ジベール。

作品の結末や人物設定もありがちと言えばそうなんですが、この姉妹間の心理的葛藤や、すれ違う男女の恋愛感がしっかり描かれているため、裁判の進行と共に、作品鑑賞するこっちも一緒になって「真実」を探そうとする効果がうまく出ていました。

おまけ

誰もがはまり役だったと感じるバルドー。実は本人自身もかなり悲劇のヒロイン「ドミニク」に入り込んでしまったらしく、撮影終了後バルドーは自殺未遂をおこしています。今では彼女も、自分の出演した中で最高の作品だったと言えるようになったそうですが、当時はかなり精神的に打ちのめされた役柄だったようです。

そんなバルドー、当時はジャック・シャリエと結婚していたのですが、共演したジベール役のサミ・フレーと強烈な恋に落ち、2年間ほど付き合っていたそうです。

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