フランス映画【人生は長く静かな河】カトリックブルジョワ家庭の騒動を描くコメディ

映画【人生は長く静かな河】

フランスではかなりヒットした作品。

ブルジョワ・カトリック家庭とプロレタリアな家庭の生活が、おもしろ可笑しく対照的に描かれています。

かなり極端に表現されてるので、その誇張の仕方が笑いをさそう作品です。

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作品情報

【人生は長く静かな河】
La vie est un long fleuve tranquille

監督 エチエンヌ・シャティリエ
出演 ブノワ・マジメル
   ダニエル・ジェラン
   エレンヌ・ヴァンソン

上映時間 90分 
公開年  1988
ジャンル コメディ

あらすじ

フランス北部の街。グロゼイユ家は低家賃アパートに住む少々ブッとんだ家庭。父親は無職、母親は専業主婦、品行に問題のある6人の子供たち。そこに1人知恵のはたらく12歳の息子モリスがいる。

街の反対側の閑静な住宅街には、大きな家に住むルケノワ家。父親が電力会社の重役で、敬虔なクリスチャンのこの家庭には、12歳の娘ベルナデットを含む5人の子供たちが住む。

ある日、病院ではたらく看護婦ジョゼットは、自分を粗末に扱う愛人の医者に復讐することを決意。彼女は12年前、この病院でモリスとベルナデットが同じ日に生まれたとき、デートを反故にした彼に対する腹いせに、2人の子供たちをコッソリ入れ替えたのだった。彼女はその事実を愛人とグロゼイユ家、ルケノワ家に暴露した。

感想

ストーリー的に強烈なパンチのある作品ではないけれど、随所に繊細なユーモアや描写が散りばめられてあり、穏やかながらもサクサク鑑賞できる作品です。

裕福なルケノワ家は、典型的な金持ちカトリック家庭。私学の制服に身を包む5人の子供達は、厳しい父親に教育されて品行方正。母親はいつも笑顔をたやさず、家事はすべて家政婦がこなす。(この家政婦がメチャクチャ面白い。) 彼らの日常は常に神父さまと教会と共にある…。(その神父がまた、歌がヘタ。)本当に可笑しすぎるくらいガチガチなカトリック家庭に描かれています。

街の反対側には、1階に移民アラブ人が営む食料品店がある安アパートに、家族全員アナーキーなグロゼイユ家が住んでいます。父親は無口だが一日中トランプをしている、タトゥをほどこしたヒッピー風。母親はケバい化粧と衣装でポッテリ太った体を着飾り、テレビの美人女性に向かってツバを吐きかける下品なタイプ。当然子供たちもタトゥに派手なファッション、盗み、アルコール、ドラッグといった生活。モラルに欠ける家庭だけど、ルケノワ家にはない豪快な笑いが家庭内にあったりと、生きている事を楽しんでいる様が伝わってくる家庭です。

もうひと組、この話を支える登場人物がいます。病院で働く看護師のジョゼットと、医師マヴィアル。この2人、そんなに出番はないのですが、この作品をまとめあげている大切な存在です。

ジョゼットは15年間もマヴィアルの愛人で、彼が離婚するのを待っていました。でもこの医者は、彼女のことはお尻としか考えておらず、本当にまあ最低な男。彼女が食事を用意して待っていても、やることだけやったらサッサと家にかえってしまう。彼女と一緒にいるより、家でワグナー聴くほうを選ぶという強烈マッチョ。

そんな彼の妻が亡くなった折、ジョゼットは彼に自分と一緒に暮らそうと提案するのですが、「君は彼女の代わりにはなれない」と言い放ちます。ついに頭にきたジョゼットは、医師マヴィアルに復讐を決意。12年前に病院で彼が同日にとりあげた赤ん坊、ルケノワ家のベルナデットと、グロゼイユ家のモリスをこっそり入れ替えた事実を、マヴィアル本人と両家に暴露するのです。

こうして、モリスはルケノワ家に引き取られ、新しい生活を始めることに。

しかしグロゼイユ家で育ってきたモリスは、ズル賢い。ルケノワ家にある豪華な銀食器を盗んだりして、グロゼイユ家にお金を回します。

そしてベルナデットには、自分たちが生まれた時に入れ替えられたという真実を話してしまうのです。ここからが見もの。品行方正な家庭内のバランスはどんどん崩れていきます。

娘ベルナデッタはショックで潔癖症になり、ルケノワ家とグロゼイユ家の子供たちの交際が始まると、ルケノワの子供たちは、まるで生きる楽しみを見つけたかのようにハメを外してゆく。

当然母親は泣いて叫んでウツになり始め、いつからかずっとサングラスをかけ、アルコールをガブ飲みしはじめる。見兼ねた旦那は妻をヴァカンスに送り出すと、今まで豪華だったルケノワ家の食卓は、缶詰の食卓に早変わり。

ストーリーは万事予想できる展開なのですが、細部の演出や会話を面白おかしく誇張させてあるので、観ていて飽きません。敬虔なカトリック家庭だけでなく、あらゆるのもを笑いで皮肉っている作品です。

ルケノア家の生活スタイルは、インテリアから食卓まで、フランスの古典的な金持ちスタイル。グロゼイユ家のアパートの中も貧乏臭さい演出はなく、ゴチャゴチャしてるけど清潔感のあるポップな装飾。ファッションや髪型までも、これでもか!というくらい極端に描かれているので、画面もオシャレで観ていて楽しい作品でした。