フランス映画「ボルサリーノ」ドロンとベルモンド

フランス映画【ボルサリーノ】ドロンとベルモンドの緊張をたのしむ作品

フランス映画【ボルサリーノ】

ギャング映画といえば、薄暗くて血なまぐさい風情を想像してしまいますが、この作品は思いのほか軽快に描かれています。

同世代ライバルスター「ドロン」と「ベルモンド」の共演。

陰と陽みたいな2人が、お互いを意識しつつも、自分の役者個性を発揮しようと苦戦している様子が見て取れる、面白い作品です。

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作品情報

【ボルサリーノ】

原題 « Borsalino »
監督 ジャック・ドレー
脚本 ジャン-クロード・キャリエール
制作 アラン・ドロン
音楽 クロード・ボーリング

出演 ジャン-ポール・ベルモンド
   アラン・ドロン

公開年  1970
上映時間 126
ジャンル 犯罪

あらすじ

フランス映画「ボルサリーノ」ドロンとベルモンド

1930年、南フランスのマルセイユ。出所してきたシフレディ (ドロン) は、自分の女ローラが、同じくならず者のカペラ (ベルモンド) の元にいるのを見つけ出す。

店でふたりは女を巡って殴り合いになった末、奇妙な友情が芽生え、一緒に仕事をすることにする。 競馬やボクシングの八百長試合に始まり、知り合った界の弁護士リナルディから、魚市場の仕事を回され成功を収める。

勢いに乗ったふたりは、罠にはめられながらも、マルセイユを仕切る2大ボス、ポリマレーロを淘汰し、ついにマルセイユは彼らの手中に。

しかし、2頭は続かない、いつか自分たちが仲違いすることを懸念したカペラは、自分はイタリアへ旅立つことをシフレディに告げる。そしてカペラが屋敷から出た矢先、彼は何者かに銃撃され、駆けつけたシフレディの腕の中で息絶える。

感想

当時のフランス映画界の2大スター、ドロンとベルモンドの共演で大ヒットしたこの作品。

もちろん、シナリオもちゃんと練られているし、ボリングの音楽もとてもオシャレ。ギャング映画にしては、明るく軽快に描かれているし、テンポの緩みが気になるところもほとんどなく、すべてが上手くまとまっています。

帽子ブランド「ボルサリーノ」をはじめ、衣装もデコも豪華。若干時代を感じさせる面はありますが、作品全体的が古臭くてたまらないということはありません。

ドロンとベルモンドの2人に関しては、やはりお互いを意識しすぎている感が演技にでている気がします。

ドロンはいつも通り「ドロン様」の男前クールを確保できていますが、ベルモンドが彼のキャラを出し切れておらず不完全燃焼。彼はもっとノビノビとした、味のある濃い演技ができるのになと思うと少し残念でした。

ライバル2人の間に走る緊張を微妙に感じつつ、内容的にもサクサクと鑑賞できる、楽しめる作品です。

おまけ

この作品が企画された1969年、当時2大スターとして話題だった33才ドロンと36才ベルモンド。

この共演の話がベルモンドにやってきた時、彼はすぐにはOKを出しませんでした。乗り気ではあったのですが、シナリオが数十ページしか上がっていなかったからです。おまけに作品はドロン自身のプロダクション。彼は完全に固まったシナリオが手に入った段階で、ドロンと直の面会を通して、やっとこ出演OKを出します。

そんな経緯でライバル共演が確定したのですが、なんと言ってもベルモンドは自主スタント派のスポーツマン。やっぱり男の体格美は比較要素になると思ったのか、ドロンは頑張って文字通り筋肉をつけたようです。2人そろって奇妙な水着姿になる川辺の場面では、それが良く見てとれます。

同世代のスター共演ともなれば、お互いの要求が強くあるので、合意に到達するのが大変。スクリーンに出演する時間の長さが2人とも同じであるだけでなく、うわさではクローズアップの回数までも同じであることを要求したといいます。コスチュームの質においてもそう。どちらかが片方よりも劣る条件にならないように、徹底的に同位になるように計画されます。

しかし、作品公開も間際という頃、やはり問題が起こります。

広告のベルモンドとドロンの名前は、アルファベット順で掲載されてはいたのですが、クレジットされるはずのドロンのプロダクション名「アデル」が、「アラン・ドロン」自身の名前に変わっていました。それにより、ドロンの名前が広告とクレジットに各2ヶ所現れることになったのです。

刷り上がった広告を見てそれを知ったベルモンドは、契約違反であると裁判所に訴えます。幸い、この騒動が映画公開の足を引っ張ることはなかったのですが、この問題が解決するのに2年半近くを要します。最終ベルモンドが勝ち、彼はこのことをきっかけに、自身のプロダクションを立ち上げます。