ラスコーとパディラックの洞窟を訪ねる旅、第2報。
前回はラスコーの壁画を堪能しました。
本日は「パディラック洞窟」で地底探険です。
深さ75mの穴を上からのぞく。
こんな洞穴がフランスにあるとは知らなんだですが、この風景には明らかに見覚えがあります。世界の絶景集だかで見たのでしょう。
春休みで、家族連れや外国人観光客で大賑わいでしたが、見学行程は上手くオーガナイズされていて、最小の待ち時間で順調に回れました。
探険は予約制で、1時間半の旅。日本語のイヤホンガイドもあり快適です。
いざパディラックの地底探険へ出発!
直径35mの穴を底からのぞく。
駐車場やレストランのある近代的な一角に、その「穴」はあります。森林の中だったら雰囲気あるのによ、、、と思いましたが、地下に降りてしまえば、地上の景色なんて気になりません。
穴の直径35m、深さ75m。まずは穴底まで、階段かエレベーターで降ります。
階段は工事現場の足場を連想したので、エレベーターで降りようと思ったら、係の人が「年に3回くらいは途中で止まる」とか言うので、階段を選択。手すりをしっかり持って、滑らないよう足元に注意しながら、ゆっくり降りていきます。
無事に穴底に着いたら、隅にある階段かエレベーターで、また30mほど降下。
こうして地上から計103m潜ったそこには、20kmの地底水脈を伴った洞窟が、42kmに渡って続きます。私たちはその一部分を、往復2.2km(1.2km徒歩+1km船)の行程で探険します。
洞窟に入ると、そこにはライトアップされ、ねっとり輝く鍾乳石と、エメラルドグリーンな地底湖が目に飛び込んできます。
その神秘的な美しさを鑑賞しつつ、しばらく歩くと船着場に到着。ここから10人乗りの小舟に乗って、船頭さんの話を聞きながら、川を静かに進んでいきます。
洞窟の中を流れる川。
生き物は、私たち人間と、8種のコウモリと、体長1cmのエビと、体長3mmの巻貝(固有種)だけ。水深は深い所で6mもあるので、物を落とさないためにも写真撮影は禁止です。
終点の地底湖畔で船を降り、また少し陸地を歩くと、今度は天井の高さ94m(地上までの厚み9m)のグランドドームと呼ばれる大広間に出ます。街の教会がスッポリ収まるような巨大空間で、これが地下なのだとは、すんなり脳が処理できないくらい壮観です。
ここでひととき現世を忘れたあとは、また小船に乗って、来た道を戻ります。帰りはさすがにエレベーターで上りました。
雨降るグランドドームを行く。
洞窟内の気温は13℃、水温12℃、湿度98%。
好天続きの時は、洞窟内もサラッとした体感だそうですが、私が訪れた日は雨が続いた後だったので、洞窟内は部分的にドシャ降り。もちろん傘の使用は禁止なので、フード付き防水上着と、防水性ハイキング靴は必須です。普通のスニーカーだった人は、滑るし濡れるしで大変そうでした。まあそういう私も防水上着を忘れてしまい、頭からズブ濡れになりました。
テーブル状の鍾乳石
パディラックの穴がいつ出来たのか、はっきりは分かりません。まずは、1億8000年前からの海中での石灰岩の形成と、のちの海の後退を経て、この辺りの基盤である石灰岩台地ができあがります。そこへ、ピレネー山脈形成でプレートが動いたことにより、台地に大きな断層や亀裂が入り、200万年ほど前からの二酸化炭素を含む水による侵食で、徐々に地下ギャラリーが形成。この穴も、数十万年前からあった石灰岩盤の空洞部分の天井が、水による侵食で崩壊してできたと言われます。
話が太古の昔すぎて、私にはいまいちピンときませんが、キリスト誕生は実はすごい最近の話だったんだなとか、そんなことを思いながらガイドの話を聞いていました。
ラスコー壁画に続き、ここパディラック洞窟も、想像以上に神秘的な体験でした。
地下にこんな巨大な空間があるなんて!それも長大な時間をかけて出来上がった、自然の建造物です。ジュール・ヴェルヌの『地底探検』をふと思い出し、興奮冷めやらぬうちに再読しようと、本棚から引き出してきた次第です。
もういい年のオバさんなのに、未だこういうロマンには抗えず、童心に戻って新鮮に感動した旅でした。
次回はこの旅で訪れた街を、いくつか紹介します。